2月11日(水・祝)コム デ ギャルソン社の2026-2027AWメンズ展示会を取材。招待状には「2月11日(水)2月12日(木)2月13日(金)10時~18時 南青山本社4階」とある。ん?!2月11日は祝日だが?
実は2月11日14時にコンサートに行く予定があり、午前中に展示会を取材出来たら好都合だと思って電話で確認すると、「間違いではありません。祝日ですが開催します」という返答。
ニューヨーク、ミラノ、パリ、ロンドン、東京などのファッションウイークでは土曜日、日曜日でもコレクションショーを開催する。しかしファッション企業が土、日、祝日に自社の展示会を開催するというのはあまり例がないのではないか。まあ、コムデギャルソンらしいと言えば言えるが(笑)。

午前10時ちょっと過ぎに会場に着いたが、なかなか盛況だ。直営店のスタッフが多いようだ。新聞社、出版社の記者は見かけなかった。当然か(笑)。
それはともかく今回の川久保玲による「コム デ ギャルソン ・オム プリュス」(パリ時間1月23日金曜日17時発表)が掲げたテーマは「ブラックホール」。マスクメーカー・アーティストの村山伸が制作したマスクを着用したモデルたちが登場。
映画好きなら映画「羊たちの沈黙」(1991年 ジョナサン・デミ監督)を必ず思い出すだろう。「羊たちの沈黙」はFBI訓練生を演じるジョディ・フォスターが主役なのだが、もう一人の主人公が人食い殺人鬼の天才精神科医ハンニバル・レクター役のアンソニー・ポプキンス。
「羊たちの沈黙」
今回使用されたマスクは、逮捕されたレクターが収容されている精神病院で着用させられている拘束マスクを強く想起させる。
川久保玲と村山伸の間にどんな話し合いがあったかは知らないが。現在の人間界を俯瞰した時に感じる閉塞感・絶望感を表現するのにこのマスクを用いたのだろうか。洋服よりマスクの方に目が行ってしまう。
ショーで使用されたマスクは販売予定はないとのこと。かなり重要がありそうだが。

洋服のカラーは黒一色、わずかに白。素材も凝っているが、このところそのシルエットは毎回どんどん細くなっている。ギャルソン流につまんだり、ひねったり、非対称にしたり、縮絨をかけたりするが、それにしてはエレガントでフェミニンなメンズウェアだ。
映画で「ブラックホール」と言えば、「コンタクト」(1997年 ロバート・ゼメキス監督)と「インターステラー 」(2014年 クリストファー・ノーラン監督)の2作を思い出す。
「コンタクト」の主役は、地球外知的生命体探査プロジェクトに携わる研究者役のジョディ・フォスターだ!前述したように「羊たちの沈黙」でフォスターはハンニバル・レクター役のアンソニーポプキンスと対決する。
「コンタクト」
フォスターは映画「コンタクト」ではブラックホール(光のトンネル)に突入して「異星」を体験するが、そのフォスターの恋人を演じるのが政府の宗教顧問役のマシュー・マコノヒーだ。さらにこのマコノヒーはブラックホールに突入して滅亡寸前の人類の移住先を探査する宇宙飛行士役を映画「インターステラー」で演じている。
「インターステラー 」
「ハードマスク」「ブラックホール」から連想される3本の映画を挙げてみた。三題噺的に「羊たちの沈黙」「コンタクト」「インターステラー」はジョディ・フォスターというキーワードで結びつく。どうも川久保玲はこの3本の映画を見ているような気がする。
フィナーレでモデルたちは一転してオートクチュールのフィナーレのマリエのように鮮やかに白のファッションを身に纏い登場する。抑圧されていた気分が一気に解放されるような気分。ブラックホールに突入した宇宙飛行士が滅亡寸前の人類の移住先の星を発見したかのように。なかなかの演出だ。
2月8日投開票が行われた今回の衆議院選挙では自民党が圧勝しいわゆる従来の「ハト派」、「護憲派」、「リベラル派」、「左翼」、「反核派」を絶望の淵に叩き落したが、「反骨のデザイナー」である川久保玲はこの結果をどう感じているのだろうか。
「川久保玲社長は、支持政党はあるのですか?」
古参の広報担当者に尋ねてみた。
「存じません」。
「政治には関心があるのかしら?」。
「あると思います。新聞はよく読んでいますね」。
「ちゃんと投票しているのかしら?」
「していると思います」。
3月にパリで発表されるウィメンズコレクションはどうなるのかな?興味津々である。