どうにもこうにも右顔面の痛みが続くので、医師からの勧めもあり手術を決行した。
説明が難しいのである専門病院の説明を引用する。1万人に1人の奇病らしいが、最近は増加しているらしい。

顔面神経痛と同類だが、ちょっと違うようだ。以下社会医療法人 ささき会 藍の都脳神経外科病院による説明を引用しておく。
三叉神経痛
顔の感覚をつかさどる三叉神経になんらかの異常が生じて、その感覚の領域に主に発作的に電撃痛や焼け火箸を突き刺されるような痛みを生じる病気です。 その原因は、いわゆる<脳幹>と呼ばれる主に生命の維持に必須の機能を持った部分から生じて最終的には顔の知覚を伝えるように分布する三叉神経に、動脈硬化などで屈曲した脳深部の動脈や静脈が直接ぶつかり、神経を圧迫することによって生じていると考えられます。
この病気自体は生命の維持には問題ありませんが、三叉神経痛の痛みとは激烈なことが多く、治療法の無かった時代には、これが原因でひどいうつ状態になったり、食事が出来なくて体力の消耗を来したりすることがありました。加えて痛みの生じる頻度と持続時間は、時と共に増悪傾向を示すことが知られています。ちなみに人間が感じる痛みの第1位は分娩痛、第2位がこの三叉神経痛だと言われているようです。分娩は我慢すればなくなりますが、三叉神経痛は続いていきます。 |
三叉神経痛の原因である微小血管減圧術について
三叉神経痛の原因となっている脳深部血管の三叉神経への圧迫を手術によって取り除きます。手術は全身麻酔下、病側を上にした側臥位で行われます。病側の耳の後ろで毛髪を部分的に剃毛します。毛髪が生えていた範囲内で7cm程度の直線状の皮膚切開をおこない、筋層を剥離し頭蓋骨(後頭骨)を露出させ、医療用のドリルなどを用いて長径で4cm程度の小開頭を施行します。この際にくり抜いた骨は手術終了時にはめ込み、チタン製の金属で固定します。
開頭終了後に手術用顕微鏡を用いて、脳を覆っている硬膜、くも膜と呼ばれる膜を切開します。くも膜を切開すると髄液と呼ばれる脳の表面を循環している液体が流出します。髄液が流出するとその体積分脳が沈み込むため、頭蓋骨と脳の間の空間が生じ、その空間を利用することで脳を痛めずに手術をすることが可能になります。その後、喉、舌、顔面の感覚あるいは聴力に関わる神経や脳の血管を剥離しながら、脳深部にある三叉神経に到達します。三叉神経を圧迫する血管があればそれを剥離し、神経への圧迫を解除します。圧迫を加えていた血管については移動させた上で、再度三叉神経に圧迫を加えることがないように、医療用の接着剤(血液製剤)で周囲の頭蓋骨や硬膜に接着したり、医療用のスポンジなどを利用して顔面神経に直接圧迫が加わらないようにする方法をとります。
以上の操作の間に、最も影響を受けやすい聴力に関わる神経の状態を確認しながら手術を行います。以上の操作を終了し、周囲組織の状態や止血を確認した後に、硬膜の縫合、上述の通り頭蓋骨の修復を行い、頭皮下の筋肉・皮下組織・頭皮をそれぞれ縫合し手術を終了します。その有効性は約90%程度効果が期待できます。 |
自分で読んでみても、恐ろしい難手術なのが分かる。三叉神経痛よりも今回の手術で私の脳は大丈夫だったのか?と思ってしまう。
全身麻酔なので尿管に管を入れる際に管が前立腺に当たって、術後3日ほど血尿が出てびっくり。同じ病室には、同じ手術の際の副作用で声が出にくくなった患者などもいる。そりゃそうだよな、こんな難手術で無事というのが不思議なくらい。
手術後は、まるで別世界みたいな桃源郷になるのかと手術前は期待した。確かに常時あった右目、右眉毛、鼻の右半分にあったチクチクする慢性的痛みが消えた。ただし、顔をゴシゴシ洗うと電気が依然として走る。リンゴを食べた時も電気が走るような痛みがあった。これは、退院後の薬の服用で治るのか。

三叉神経に悪さをする血管は剥離したものの、三叉神経痛自体がイカれてしまっているということもありそうだし。もうやってしまった手術で、引き返すこともできず、私は今後どうなるのだろうか?
あ、想定外のメリットもあった。1週間の入院で体重がちょうど5キロ減った。ちょっと凄くないか。手術日は完全絶食(点滴あり)、他の6日間は1500から1700カロリーだった。もちろんアルコールはなし。「ノン・アルコール飲料もダメです」と念を押された。1週間の減量入院と考えようか(笑)。