「windblue」 by MIDIBOX


6月14日土曜日14時サントリーホールで沖澤のどか指揮都響(コンサートマスター:矢部達哉)のコンサートを聞いた。

 このコンサートのことは昨日知って、当日WEB購入したものだ。このためシニア割引できなかったが、LB6-10という良席をゲットした。

 前半の「牧神の午後への前奏曲」は冒頭のフルート独奏の音色が私にはあまり魅力的でなくて今一つ。

 プーランクの2台のピアノのための協奏曲もこの曲の面白さがあまり感じられなかった。席のせいか、ブラレイの音が大きすぎて、務川が師のブラレイに遠慮しているようにも聞こえた。

 アンコールはプーランクの「仮面舞踏会」からカプリッチョ。後半は「春の祭典」。「春の祭典」マニアというくらいこの曲はここ10年ほど聞いている。

 

 沖澤の演奏会は日本フィル(交響曲スコットランド)、読響(死と浄化」)、読響(シベリウス交響曲第2番)、東京シティ・フィル(「ダフニスとクロエ」)と聞いてきた。いずれも素晴らしい演奏で彼女の才能に圧倒された。今回はどんな「春の祭典」を聞かせてくれるのか。

 沖澤のどかは青森出身ということもあり、ちょっと身びいきなぐらい応援してきた。しかし予想を上回る成長を見せて来た。

 沖澤のどかの略歴をWikipedhiaで紹介しておく。

◆沖澤のどかの略歴(Wikipedhiaより)

 沖澤 のどか(おきさわ のどか、1987年 - )は、日本の指揮者。青森県三沢市生まれ、青森市育ち。ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程オーケストラ指揮専攻修了。ドイツ・ベルリン在住。所属事務所はKD SCHMID。

 青森県出身。親族の影響で幼少期から楽器類に親しんでおり、小学5年から高校までは地元の青森ジュニアオーケストラでチェロを弾いていた。青森県立青森東高校では吹奏楽部に所属し、パートはオーボエであった。

 音楽の道に進むと決意したタイミングが高校2年の冬と遅く、それまでほぼ勉強していなかった「指揮科」を進学先に選んだ理由のひとつとして、普通高校でも芸術系大学への入試準備が間に合うかもしれないと考えたためと明かしている。高校2年生くらいまでは大学で日本語を勉強して、将来は図書館司書など静かな仕事がしたかったと語っている。

 東京藝術大学音楽学部指揮科に現役合格、首席卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞し、新卒業生紹介演奏会に出演。同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程修了。在学中に高関健と尾高忠明に師事した。2014年に同大学院を修了した後、ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンへ進学してクリスツィアン・エーヴァルト(ドイツ語版)とハンス・ディーター・バウム(ドイツ語版)の下でオーケストラ指揮を学び、2019年に修士号を取得した。

 

2011-2012年、オーケストラ・アンサンブル金沢指揮研究員。

2015年、フェリックス・メンデルスゾーン基金(英語版)の奨学生に選出。

2016年、第7回ジュネス・ミュジカル・ブカレスト国際指揮者コンクールにて第3位受賞。

2017年、ダニエレ・ガッティとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるマスタークラスに参加。

2018年、第18回東京国際音楽コンクール〈指揮〉にて、女性として初めて第1位及び特別賞、齋藤秀雄賞を受賞。第1回ニース・コートダズール・オペラ指揮コンクールセミファイナリスト。

2019年、東京・春・音楽祭において、リッカルド・ムーティによるイタリア・オペラ・アカデミーを受講。

2019年9月21日、第56回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。同時に聴衆賞及びオーケストラ賞に輝いた。

2019年10月、ハンス・アイスラー音楽大学ベルリン修士課程オーケストラ指揮専攻を修了する。

 これまでに、指揮を田中良和、松尾葉子、尾高忠明、高関健、下野竜也、クリスツィアン・エーヴァルト、ハンス・ディーター・バウム、マヌエル・ナヴリの各氏に、オペラ指揮をハンス=ディーター・バウムに師事。井上道義、下野竜也、パーヴォ・ヤルヴィ、ネーメ・ヤルヴィ、クルト・マズア、リッカルド・ムーティ各氏のマスタークラスを受講。

2020年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のカラヤン・アカデミーの奨学金を受け、キリル・ペトレンコの助手となる。2022年3月には、連邦大統領官邸(ベルビュー宮殿)においてロシアの侵略を受けたウクライナとの連帯を示すために開催されたコンサートで、急病のペトレンコの代役としてベルリン・フィルを指揮した。

2022年8月のセイジ・オザワ 松本フェスティバルで『フィガロの結婚』を指揮して成功裡に終えた。

2023年4月より京都市交響楽団の第14代常任指揮者に就任。

2024年よりセイジ・オザワ 松本フェスティバルの首席客演指揮者に就任。当初予定していた就任披露公演に加えて、アンドリス・ネルソンス降板に伴い、オーケストラ コンサート Bプログラム(ブラームスの交響曲第1番、第2番)でもサイトウ・キネン・オーケストラを指揮し、高い評価を得た。

2025年11月、ボストン交響楽団にデビューする予定。

 私生活では、2019年にリトアニア人男性と結婚、2022年1月には女児を出産し、そのために産休に入っていたが出産後2か月ほどで復職した。

 略歴を見ると、ツキのある女性だが、ことごとくチャンスをモノにしてきているのが分かる。このあたりはちょっと怖いぐらい。

 今回のコンサートも見事を超えた大名演だった。冒頭のファゴットから都響の機能美が素晴らしく、聞きほれた。こんな音がスコアには書かれていたんだと思わせることも何回かあった。沖澤のスコアの読みに感心。

「冷徹な狂気」という感じで演奏は進むのだが、第1部でも、第2部でも終結部では、オケは興奮気味に崩壊寸前のスリリングな展開になって、手に汗握ってしまった。いやあ、これは凄いものを聞いてしまった。都響も凄い出来だった。

 私が今まで聞いたラトル指揮ベルリンフィル、サロネン指揮フィルハーモニー管弦楽団に匹敵する出来だと思う。決して雑にならない爆音でサントリーホールが音の洪水に満たされた感じ。

 

 それにしても、ストラヴィンスキーはとんでもない曲を作曲したものだ。「火の鳥」「ペトルーシュカ」も名曲だが、「ハルサイ」は麻薬を服用して作曲していたなんていう与太話があるが、確かにそんな感じがする。聞いていてこっちまで変な感じになってくる。そんな演奏だった。

 凄い演奏を聞いてしまった。沖澤のどか、またまた一回り大きくなったように思った。この人のあと10年を見て・聞いてみたいと心底思った。

(2025.7.18「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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