「windblue」 by MIDIBOX


大学の年内最終授業もこの12月19日木曜日に終わった。まあこの日に期末試験をした科目もあって、もうほぼ終了である。

 なんかいい演奏会はないかと探していたら、この「メサイア」(ヘンデル作曲)by藝大フィルを見つけた。

 年末の「第九」はもういいから「メサイア」でも聞いてみようかと、東京文化会館へ。実はコンサート前の1週間youtubeでかなり予習をしていた。

 

 予習に使ったのは、コロナ真っ盛りの2021年12月12日(日)の鈴木秀美指揮神戸市室内管弦楽団&神戸市混声合唱団による演奏(ポスター上掲)。字幕付きはこれしか無かったのだ。このコンサート自体も字幕付きだった。

 しかし今回の山下一史指揮藝大フィル(コンサートミストレス:澤亜樹)の演奏会は字幕はなし。「プログラムに英語・日本語の歌詞が載っています。一部1000円です。チャリティーコンサートなので」と係の女性。

「第九」だって字幕付けたほうがいいのではないか。ましてや、このメサイアは全54曲中序曲(シンフォニー)と牧歌(パストラーレ)の2曲を除けば全て歌詞の付いた物語なのだ。一考して欲しい。

 それはともかくこの芸大メサイアは1951年以来コロナによる2020年、2021年の中止を除いて、毎年続けられて来た言わば藝大のお家芸なのだ。

 指揮者には渡邉暁雄、山田一雄、外山雄三、大町陽一郎、小林道夫、鈴木雅明などの名前も見えるのだ。

 

 どうでもいいことだが、指揮者の山下一史は俳優の役所広司にソックリなので有名な藝大教授だ。

 いやあ、年末に実にいいコンサートが聞けた。9列目センターから6列目でちょっとどうかなと思ったS席(6000円)だが、全く問題なかった。やはり長い歴史を積み重ねた伝統というのだろうな。

 しかも、藝大フィルはプロのオーケストラだがアマチュアリズムの真摯な姿勢が貫かれている。

 このアマチュアリズムは藝大生からなる合唱団については言うまでもない。なにより声が若々しいのだ。これが「メサイア」にピッタリなのだ。

 

 私は、キリスト教の生誕、奇跡、受難、復活などに関してはかなり政治的なものだと思っている。

 しかしこの「メサイア」の描くドラマと音楽には頭を垂れてしまう。全編2時間半(今回は第34〜36曲をカット)、全く退屈しない緊迫した時間だった。年の瀬に素晴らしい時間を過ごせた。

(2024.12.27「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

PAGE TOP


  banner  Copyright(C) Miura Akira&Habane. All Rights Reserved.