12時半からの昼食休憩も13時10分には対局場に戻り盤面を見続け打開・挽回の手を探した。
そして15時に出た午後のオヤツのすぐあとの15時26分に投了。異例の早さの投了だ。その後のインタビューと感想戦も30分ほどで切り上げた。
菅井はそれも心ここにあらずという感じで聞こえないようなか細い声で話した。なんと16時半には荷造りしてホテルから逃げるように帰路についた。
よほど今回の敗戦がショックだったようだ。普通、2日制の対局が終わったら、感想戦は最低1時間はやって、その対局場に宿泊し疲れを癒し翌日帰途につく。これが普通なのだがよほど敗戦が応えたようだ。第3局以降の菅井が心配である。
勝負師というのは本当に辛い商売である。必ず勝ち負けがつきまとい、時には藤井聡太のようなとんでもない天才と勝負しなくてはならないのだ。ここから4連勝して王将位奪取はまずあり得ないだろう。
しかし、並み居る強豪を打ち倒した獲得した挑戦権なのだから、第3局、第4局は心身ともに不調なので棄権して不戦敗というわけにはいかないのだ。
負けると分かっていても戦わなければならない辛さ。勝負師なら最も辛い戦いだろう。
こんな具合に藤井聡太に挑戦したはいいが、敗退して「壊れてしまった」棋士は少なくない。渡辺明前名人がその典型的な例。王位戦、棋聖戦にダブル挑戦した佐々木大地七段もその後パッとしない。
「タイトルの挑戦者になりたくない症候群」が将棋界に蔓延していないか。
第3局は島根県大田市(おおだし)さんべ荘で1月27(土)、28日(日)行われる。