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いやあ、藤井聡太がやりました。

 3月19日日曜日に、まずTV NHKEテレで放映されたNHK将棋トーナメント決勝戦で佐々木勇気八段(28歳)に116手で勝って、トーナメント方式の4大タイトル(銀河戦=決勝で高見泰地七段破る、JT杯=決勝で斎藤慎太郎八段破る、朝日杯=決勝で渡辺明名人・棋王破る、NHK杯=決勝で佐々木勇気八段破る)を今年度内に全て獲得するという史上初の快挙(グランドスラム)を達成した。

 NHK杯はすでに録画されていた対戦だが、同じ日に実際に行われた棋王戦5番勝負(先に3勝した方が勝ち)の第4局で、挑戦者の藤井聡太はタイトル保持者の渡辺明棋王・名人(38歳)に132手で勝って、3勝1敗でタイトルを奪取した。

132手目の6八金が藤井聡太の最終手

 これで、将棋界のいわゆる8大タイトル(名人、竜王、王将、王位、棋王、棋聖、王座、叡王)のうち、6冠を20歳8カ月で制覇したことになるが、もちろん史上初だ。

 4月5、6日に開幕する名人戦7番勝負では、藤井聡太が今期の挑戦者に決定しており、今回破った渡辺明名人と7番勝負を戦う。

 また、まだ奪取していないもうひとつの王座のタイトルについては、16人による決勝トーナメントが7〜8月に行われ、現在6つのタイトルを持つ藤井聡太はシードされているが、この決勝トーナメントで4連勝しないと永瀬拓矢王座(現在4期連続タイトル保持中)への挑戦者になれない。

 この王座のタイトルが8大タイトル全冠制覇への最難関になっている。

 まあ、今期(2022年4月1日から2023年3月31日)の公式戦を藤井聡太は本日で終了。

 叡王戦防衛(出口若武六段に3勝0敗)、棋聖戦防衛(永瀬拓矢王座に3勝1敗)、王位戦防衛(豊島将之九段に4勝1敗)、竜王戦防衛(広瀬章人九段、4勝2敗)、王将戦防衛(羽生善治九段に4勝2敗)、棋王戦奪取(渡辺明棋王・名人に4勝1敗)。これがいわゆるタイトル戦の成績だ。

 いわゆる一発勝負の4大トーナメント戦と違って、5番勝負か7番勝負のタイトル戦で藤井聡太が負けるのはちょっと想像しずらいのが現状だ。

 また4月からは過酷な勝負の世界が藤井聡太を待っている。

 本日の棋聖タイトル奪取で3月一杯の2週間は公式戦はない。ゆっくり休養して鋭気を養ってほしい。

 こんなに勝ち続けるのには、将棋が強いのはもちろんだが、体力、メンタルが人並みはずれて強靭でないと難しいからだ。

 野球もサッカーも、サムライ・ジャパンは応援するが、ヒイキのチームはいない。

 ワールドカップもWBCも終わってしまった。相撲は福島生まれなので、若隆景の勝ち負けがちょっと気になるぐらい。正真正銘「応援団」と言えるのは、この藤井聡太ぐらいなのだ。

 対局のある日は、1日中YouTube、Abema、囲碁将棋チャンネルなどを見て一喜一憂して1日が終わるのである。

(2023.3.24「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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