TVで映画「東京家族」(2013年 山田洋次監督 2時間26分)を見た。
小津安二郎監督の「東京物語」(1953年 2時間16分 モノクロ&スタンダードサイズ)の60年ぶりのリメイクである。
時代は平成、東日本大震災(2011年)のことも脚本にはかなり盛り込まれており、細部にさまざまな変更はあるが、概ね原作の骨格は生かされている。
「東京物語」
「家族の崩壊」というのは、「東京物語」公開当時の1953年頃はなかなか先駆的テーマだったが、2013年ではもはやテーマにはなり得ない日常茶飯事であり、そのあたりがこのリメイク映画を変な映画にしていて、居心地が悪い。
とは言え、これはこれでなかなか見られる映画にはなっている。良くも悪くも山田洋次映画ではある。もちろん小津映画の格調、芸術性というのは望むべくもない。
最初の配役は、老夫婦は菅原文太&市原悦子(橋爪功&吉行和子)、長女は室井滋(中嶋朋子)だったという。東日本大震災で公開延期になり配役も変えたとWikipediaにある。
吉行和子と橋爪功
半ば引退していたのを説得されて撮影に入っていた菅原文太は、東日本大震災の悲惨な被害を見て「映画を撮ってる場合じゃない」とそのままキャストから外れたという。その他の変更はどんな理由だったのだろうか。
第37回日本アカデミー賞を総なめにしたが、やはり吉行和子が醸し出す優しさと哀しさが出色だと思う。妻夫木聡と蒼井優が得な役回りとは言え好演だった。
妻夫木聡と蒼井優
そしてなんといってもリアルなのは風吹ジュン演じる居酒屋の女将と嫌われながらもその店に通い詰める客の小林稔侍だった(笑)。