「windblue」 by MIDIBOX


2020年アカデミー作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞&カンヌ国際映画祭最高賞パルム・ドール(2019年)を受賞した「パラサイト 半地下の家族」(2019年 ポン・ジュノ監督 2時間12分)が早くもTV(日本テレビ系)で放送された。しかもノーカットだ。

 しかし、凄い量のCMが挿入されていて、呆れてしまう。録画してCMとばして見ないと気が狂うほどだ(笑)。もちろん吹き替えであった。

 それはともかく、なかなか良くできた映画だ。映画評論家の町山智浩の指摘通り、前半は相手を欺き嵌めるケイパー映画というかミッション映画的な「オーシャンズ11」的な内容、後半はサスペンス・ホラー、終結はヒューマンタッチという構成。韓国映画らしからぬ非常に洗練された映画だ。

 こういう映画は、日本で言えば、伊丹十三の映画あたりに源泉があると思う。これに暴力的な要素を加えるとタランティーノ映画になると私は解釈しているが。

 この映画の底流には、韓国格差社会における分断の実態というテーマがあり、それが強靭な骨格を与えている。

 韓国を代表する美人女優チョ・ヨジョン そして現在の映画の重要テーマである家族の在り方を考えさせる作品でもある。

 この映画は、やはりカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(2018年)を受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」(2018年)と同工異曲であるが、「パラサイト」の方が明らかに立体的・映画的で泥臭くない。

 ただ前半がケイパー映画ということもあり半地下家族の描き方がステロタイプになっていて深みはない。

 しかし後半、半地下家族の父親を演じたソン・ガンホの表情の変化は見事だった。富豪夫婦が自分の体臭が切り干し大根臭いと言っているのを小耳に挟むのが心理変化の契機になる。

 一方富豪一家のノーテンキな妻役は韓国を代表する美人女優のチョ・ヨジョンで好演。

 なおインド映画「ミンサラ・カンナ」に酷似しているという指摘があるという。また半地下家族の長女が歌う「独島(竹島)は我が領土」の替え歌が問題視されたりしている。

 ちゃんとCM抜き&字幕付きで見直したい映画であり、もう一度見ると、もっと伏線の回収ができそうな緻密な作りの映画である。

 ポン・ジュノ監督の他の作品を是非見てみたい。

(2021.1.15「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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