タイトルは大仰だが、ほんとうにラーメンを食べなくなった。
まず魚介系つけ麺というのがダメ。安易に作られすぎていて、売れ筋をOEMで追っかけるギャル系ファッションみたいに思えてきて、食指が伸びなくなった。
さらに背油チャチャチャ系なんて、いまや食べれば必ず腹を壊すようになってしまった。二郎系も同様。大勝軒系、家系、武蔵系も店が増えすぎて「食べ物屋と屏風は広げると倒れる」という格言通り。
結局オーソドックスな豚骨煮干しラーメンということになってしまう。しかし、このタイプはなかなか難しい。
「せたがや」で修行して学芸大学駅の鷹番商店街に店をだした評判店の「麺や
びぎ」には期待したが、それほどではなくがっかり。
町田の「胡心房」もこの系列だが、3人の店員はすべて女子、ラーメンにはレタスが入っていて、女性客にもウケるラーメン屋を目指しているそうだが、それってどうなんだろうか。
丁寧なつくりだが、突き抜けたパンチ力や味の冴えがない。
そうだ、私がラーメンに限らず、求めているもの、それは、他とは一線を画す、突き抜けた感じ、表層の巧さを超えた技の冴えなのだなと、つくづく思う。
結局年季の入った老舗でチェーン展開しない店(銀座の「共楽」など)ということになってしまう。(※右の背景画像「共楽の大盛りワンタンメン」)⇒
新規店ということになると、今年上半期にそういった私のメガネに叶った店は(といっても新規に入った店は半年で10店ばかり)は、たった1軒。新宿の「五ノ神製作所」である。
新宿高島屋の向かいのHIS本社の裏で、新宿高校のグラウンドの横にある。2010年12月24日オープンと食べログにはあるが、まだ行列が続いているようだ。
ここの海老つけ麺(850円)が途方もなく旨い。半端ではない海老の量だと思う。
高田馬場の「二代目けいすけ海老らーめん」など海老をテーマにしたラーメンは従来なかったわけではないが、このつけ麺の前では顔色なしである。
850円は高いが、みみっちい原価計算はしていないのではないか、と思わせる気概が感じられるのだ(私がそう感じるだけで、たぶん原価計算はされている)。
ファッション・デザインもこうじゃなくちゃと書くと誤解を招きそうだが、甲殻アレルギーでない方は是非その気概と味に接して欲しい。
ちなみに私は17時の夜の部開始時刻に入店したが、行列はなかった。
(2013.8.10「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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