「おまえ、そんなに休んで、会社大丈夫なのか?」と言われたが、ファッション週刊紙WWDジャパンの新年号(1月7日号)を12月26日水曜日に校了して、12月27日木曜日から1月6日日曜日までちょっと長めの冬休みと称して11連休した。
普通の勤め人はたぶん29日土曜日から1月3日までの6連休で4日金曜日が初出社。ちょっとユルイ会社でも7日月曜日初出社で9連休なのだろう。
出版社の編集部なんて新年号を校了したら年末はタダの人だが、11連休は私のサラリーマン人生でも初めてではなかろうか。海外旅行した連中も4人ばかりいた。
私はそんな大それたマネをするつもりもなく、1日がかりで家の大掃除をさせられ、読み残した本を読み、溜まった録画を観て、田舎に家族と帰省し墓参りを済ませ、大晦日と元日は田舎で独り住まいの老母と過ごした。
飯坂温泉で開催された旧友との麻雀・カラオケ会にも泊りがけで参加。
東京に戻ってからは、雀友と麻雀の打ち初め会を1日がかりで行い、馬券は買わなかったが、競走馬の走り初めJRA恒例の1月5日金杯はテレビでじっくり観戦。
さすがの私も11連休もすると、初出社前日はちょっと胃の調子がおかしかったから、人並みである。
最近は、サバティカル休暇というのがあって、ある年月(20年とか)を勤めると、1年だか半年の長期休暇を与える大企業や大学がある。
まあ、私の年末・年始の11連休もミニ・サバティカルみたいなものだが、もう少し計画的に過ごせなかったかと反省しきりである。
半分自己満足だが、数少ない「成果」を披露。
1. 読んだ本・漫画
①「未完のファシズム/持たざる国日本の運命」(片山杜秀著)
日本という国を考える転換点に第一次世界大戦の対ドイツ戦の青島戦役を上げている視点が実にユニーク。著者の本業は音楽評論だが、難解になりがちの内容を実に読みやすく書いている。大推薦。
②「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(村上春樹著)
かなり専門的な内容のクラシック音楽談義で、一般的ではないが、新鮮な発見多数。村上春樹はクラッシック・オタクである。
③「押絵の奇蹟」(夢野久作著)
怪奇推理小説「ドグラ・マグラ」で有名な著者の隠れた中編名作。若者の間でも依然江戸川乱歩の人気が高いが、戦前の怪奇幻想文学というのは侮れない高みにあるのを再認識。
④「マエストロ」(さそうあきら)
絵は下手だが、「のだめカンタービレ」なんてメじゃない、本格的クラシック漫画の大傑作だ。主人公の指揮者のモデルは2年前に76歳で逝去した宇宿允人(うすきまさと)だろう。
2. 観た映画
①「おしゃれ泥棒」(1966年、ウイリアム・ワイラー監督)
36歳のオードリー・ヘップバーンがなんともセクシー&エレガント。秀逸な邦題、こんなオシャレな映画は現代には見当たりません。衣裳はもちろん「ジバンシィ」、アクセサリーと時計(タンク)は「カルティエ」。
②「続・夕陽のガンマン」(1966年、セルジオ・レオーネ監督)
中学2年生の時に封切を観て以来、実に44年ぶりの再視聴。3時間の長尺だが、全く飽きないマカロニ・ウエスタンの最高傑作。しかしマカロニ・ウエスタンというのは、映画史の中で全く特異な現象だったと改めて思う。
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③「幸福の罪」(2011年、ヤン・フジェベイク監督)
最近のチェコ映画。ノリは日本の火曜サスペンスだが、映像のセンスが桁違い。さすがカフカのいた国である。
④「愛のメモリー」(1976年、ブライアン・デ・パルマ)
デ・パルマの初期の駄作。
⑤「シークレット・ウインドウ」(2004年、デヴィッド・コープ監督)
スティーブン・キングの原作。「ああ、またそれですか」と言いたくなる結末。しかしジョニー・デップが実にいい。ファンタジーは止めてこういう役をやればいいのにと思う。
⑥「天使にラブ・ソングを...」(1992年、エミール・アルドリーノ監督)
ウーピー・ゴールドバーグの一人舞台。なんでこんな映画観たんだろう。ローマ法王まで登場するのには呆れた。
3. TVドキュメント・音楽番組
①「カリスマの素顔/スティーブ・ジョブズ」
再放送6回目にしてやっと視聴。享年56だった。
②「漂えど沈まず/開高健」
没後23年の作家の肖像。バブル期に若者に人生の生き方を教えたヘミングウェイのモノマネ・オジサンの役回りに本人は忸怩たる思いだったはず。享年58だった。
③「五嶋みどりがバッハを弾いた夏2012」
ヴァイオリンの天才少女が、華やかな演奏家人生に疑問を抱いて23歳の時に鬱病&拒食症に。
豪華な衣裳、専用運転手付きリムジン、ファーストクラスのジェットセットなどなど、ピーク時には年収が1億円近かったという。
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五嶋みどりが
バッハを弾いた夏2012
(BS朝日)
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その後復帰を果たし現在41歳。現在はビジネスホテルに泊まり、洗濯はそのホテル近くのコインランドリー、移動は公共交通機関を使い楽器を背負って一人で。
その五嶋が日本の宗教的名勝地で無料演奏会を開きバッハの無伴奏ヴァイオリン組曲を弾いた17日間を追ったドキュメント。
④ハーバード大学白熱教室日本編2012
「お金でなんでも買えるのか?」
⑤池上彰のやさしい経済学
⑥西部邁ゼミナール:「日本再生のためになすべきこと」
⑦ニューイヤーコンサート2013
2回目の登場になるフランツ・ウェルザーメストの指揮。ウィーン・フィルの音色がちょっと冴えないと思ったが、気のせいか。
⑧マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団演奏会
2012年11月の来日公演でベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会の前半。現代のベートーヴェン演奏の規範となるような充実の名演で大満足。
サントリーホールの実演に行きたかった。
(2013.1.24「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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