10月9日日曜日、初台オペラシティのオペラパレスで楽劇「サロメ」(リヒャルト・シュトラウス作曲/オスカー・ワイルド原作)を観た。
このオペラ、オペラファン以外にも人気がある。
なぜ人気があるのかと言えば、劇中で主人公のサロメ王女が、義父であるヘロデ王のたっての望みに応じて踊る「七つのヴェールの踊り」を観に来るという輩が必ずいるからだ。
七重の着衣を一枚ずつ脱いでいく扇情的なダンスである。
日本公演で語り草になっているのが過去の2001年のザクセン・アンハルト劇場の来日公演の「サロメ」。
なんとサロメを演じたエイラーナ・ラッパライネン(元ミス・カリフォルニア)が一糸まとわぬ裸になったという「事件」があった。
ラッパライネンは熱烈なファンの求めに応じて2005年にもサロメ役で来日した。
ちなみに、コヴェントガーデン王立歌劇場の演奏でマリア・ユーイングがサロメを演じるDVDではなんとサロメを演じたマリア様は全裸になる熱演を演じている。
ボディに自信のある歌手だとかなりの線まで脱ぐので、目が離せないのである。
その日も、「七つのヴェールの踊り」までは、グウグウ寝ていたが、この踊りの直前にガバっと起きてオペラグラスで舞台のエリカ・ズンネガルド嬢の踊りを見るというオジサマが数人は居た(私では断じてない)。
エリカ嬢というには少し歳をとっている。もう40才も半ばではないかと思うが、かなりの熱演で最後はトップレスになっております。
聞けば、スウェーデン出身のエリカ様は、オペラ歌手としてなかなか花開かず、ニューヨークに出て来てホテルやレストランで働きながらチャンスを待っていたそうな。
「サロメ」は当たり役で、まさに体当たりの熱演というわけですな。歌はまあ普通という感じでしたが。
しかし、この「サロメ」(1905年初演)というオペラ、いつ観ても全くもってトンデもないオペラだと思う。
よくこういう物語をオペラにしようとリヒャルト・シュトラウスは思ったものだと思う。
しかし、「七つのヴェールの踊り」ばかりが有名になっているが、よくよく醒めた眼で見ると、原作のオスカー・ワイルドもシュトラウスも、「俗物」の醜さというものを皮肉っているのだということがよく分かる。
まあ、何はともあれ、アウグスト・エファーディングの秀逸な演出・舞台と東京フィルの充実したオーケストラ伴奏もあり一見の価値がある舞台と言えそうだ。
10月15日(土)15:00~、10月19日(水)15:00~、10月22日(土)15:00~の公演がまだあるし、これに間に合わなければ6月に新国立劇場で宮本亜門演出による演劇「サロメ」もあるということなので是非。
サロメ体験は必ずやあなたの世界観を広げてくれるはず。
(※写真:最後はトップレスに。「サロメ」のヒロインを演じたエリカ・ズンネガルドの体当たりの熱演)⇒
(2011.10.26「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)
※ 開催中の記事であるため、現在は公演期間終了がしています。
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