今週のベストディッシュ・シリーズというのを勝手に選んでいるが、最近の五皿を紹介する。
なお、最後の5番目「しおや」は故郷福島市の店である。
◆その1 今週のベストディッシュは角家(すみか)の関西風白焼き
高田馬場の早稲田通りを登って右側に西友を見て、これを右折し坂を下りると左手に赤い建物が見えてくる(外観下掲写真)。
これが鰻とおでんと刺身の店「角家」だ。「すみか」と読む。
冬は、おでんを求め、夏 は鰻を求める。
学生のいない客単価5000円程の中級店である。
高田馬場では栄通りに「とん八」という居酒屋が行きつけなのだが、おでんも鰻もやっていないから、たまにこの「角家」に来る。
土用の丑の日に鰻を食べるなんていう世間の風習に、背中を向けて生きて来たから、その土用の丑の日が終われば、余った鰻を安く食べられるのではないかと、この店に来て、「一の蔵」の冷を呑みながらこの関西風白焼きを食べる。
何故か関西風白焼きは全然白くない。
わさびと種無しの梅干しペーストが付いてくる。
あれ、鰻と梅干って食べ合わせじゃないのかね?値段はたしか1600円ぐらい?だったか。
写真はサイズがハーフの白焼きである。
鰻は土用の丑の日が終わったら食べよ、を是非肝に銘じて欲しい。
それぐらい旨かった。
◆その2 今週のベストディッシュは新宿「呑者家」の鯛の昆布〆
新宿三丁目で夕方に取材があってその帰りに、その辺りの居酒屋「呑者家(どんじゃか)」で一杯やる。
生ビールを飲みながら名物の納豆キツネ揚げを食べて、黒板メニューを見ると刺身の欄に鯛の昆布〆700円とある。
へえ、このワイワイガヤガヤのちょっとカビ臭い決して小綺麗とは言えない店らしからぬ料理なので、どんなものかとカラカイ半分に注文。
すると実に旨い。やればできるんじゃないの!〆具合が小洒落た割烹店みたいな見事さ。馬鹿にするんじゃないよ。
すかさず、この店の最高値の会津の秘酒「飛露喜(ひろき)」の冷酒(800円)を注文。
いやあ、最高、最高。こういうことがタマにあるからこの店はやめられない。
近くに「呑者家 銅鑼」とか系列店が何軒かあるが、この本店は黄色い入り口が目印。なかなか愛すべき店である。
◆その3 ドキュメント72時間、まどろみバーメイド、太田和彦ふらり旅にコメント
最近TV録画して見た3つの番組に短くコメント。
まずドキュメント72時間「クライミングジム 上を向いて登ろう」。
8月5日に那須ハイランドパークのクライミング施設で51歳の男性が墜落死して注目を集めた後の放送。場所は川崎市中野島のスポーツ施設。
「人は危険な目に遭うと生きていることを実感できる」と利用者。なるほど。しかし残業ゼロ時代でスポーツ産業が急拡大だなあ。
BSテレ東の真夜中ドラマは現在「まどろみバーメイド〜屋台バーで最高の一杯を」。女性バーテンダーのなんかちょっと隔靴痛痒のカッコ付け世界。
どうもカクテル&バーという世界は私には縁遠い。まあ色々忙しくて手が回らないだけなんだが。美女バーテンダーの店なら通ってもいいかな(笑)。
太田和彦ふらり旅 新・居酒屋百選 ♯42「くいだだおれの街 大阪の居酒屋は日本一!?」。
さすがにちょっとマンネリ化してきたかな。
大阪の酒の師匠 山中基康さん(76歳)と山中酒の店チェーンを大特集。
タイアップじゃないんだから、やり過ぎ。
純米酒を燗して真夏に呑む太田氏には疑問もある。
◆その4 今週のベストディッシュは幸寿司のこれ!
今週のベストディッシュは西麻布の「幸寿司」(昼は海鮮丼と煮魚、焼魚定食のランチ行列店の「魚幸」と名前を変えるカメレオン店)の真鯛のカブト煮(価格不詳。たぶん1000円程度)。
やはり鯛は魚の王者。じっくり骨身をしゃぶっていくと完食に30分。
日本人の「もったいない」精神がもっとも開花した逸品だろう。
日本酒(純米「立山」の冷。持ち込み)が進む。
そういう面倒くさいのが嫌いな方には同夜最後に無料のアラ汁とともに食べた握り穴子三貫と車海老の握りの皿(価格不詳。たぶん1200円程度)をベストディッシュとさせていただく。
とにかく久しぶりの同店来訪でかなり呑んでしまった(酔)。
◆その5 今週のベストディッシュは福島 「しおや」の上天丼2100円也
オフクロが老人ホームで転倒して大腿骨骨折。見舞いで福島へ。危惧していたが遂にやってしまったな。
入院した病院(大原病院)の近くの天ぷら「しおや」で昼飯。
3月に一度夜のコースを食べたが再訪はないなというレベルの大不調。しかし、そんなことはないだろうと病院から近かったので再訪してしまう。
竹の天丼1500円は平日のみだそうで、土曜日の本日はフンパツして上天丼2100円。な、なんと昼12時半で客は私一人!
出て来た天丼もタレかけ過ぎでは?と思ったのだが、それは杞憂。このタレはあの「みかわ」のタレです。
天ぷらの神様を自他ともに認める門前仲町の「みかわ是山居」の早乙女哲也が免許皆伝しただけのことはある。
・地元の椎茸のしんじょう詰め:これが本日の最高
・ナス、ピーマン:カラッとしておらずイマイチ
・海老:小さい。頭の方がうまかった。
・キス:カラッとにはイマイチ
・イカ:見事な歯応え
・穴子:東京湾の穴子の繊細さ感じる
前回の汚名は挽回したが、まだまだという感じだが、この店は天丼の店のようだ。
それにしても客がいないのはなぜか?店の存続が危惧される。天丼に2100円払う人間が地方にはいないのか。
先日紹介した銀座・登亭の鰻丼2100円(写真下掲)なんかよりこの天丼の方がどれだけ中身があることか。
この天丼すらこの店では2年前には、1000円、1500円のツープライスで出していたのだから、魚介系の料理の危機なのか。
(2019.9.8「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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