北野たけし(71歳)は、現在コメディアン(芸名はビートたけし)として舞台やTVに登場することはほとんどない。
日本よりも海外で評判になるバイオレンス映画の巨匠監督だと自他ともに認めている。
文化人として、TVの討論バラエティ番組の司会などを務めて、時折場違いな発言をして、ほかの出演者や視聴者の失笑を買っている。今後の目標は、芥川賞か直木賞だそうだ。
その北野たけしが、アパレルブランド「キタノブルー」を5月に発表した。キタノブルーは、青を基調にした映像が多い北野映画の代名詞である。
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ビートたけしのギャグで一番有名な「コマネチポーズ」がプリントされたTシャツやクラッシュ加工されたデニムパンツ、和柄を裏地にプリントしたジャケット、ゴルフ用のポロシャツやパンツ、スマートフォンケースやマグカップなど合計50型が7月から全国の百貨店、専門店、ネットで発売される。
たけしの弟子のお笑い芸人の無法松がGONZOという会社を立ち上げてビジネスを行う。しかし、タレントとしてはオーラを感じさせなくなったたけしの商品が売れるとは思えない。
KITANOBLUE
たけしも「歴史に残るようなブランドになって欲しい。(私は)思ってはいないけれど」と独特の北野節で記者発表会場の笑いを誘っていた。
たけしが、タレント・ブランドに関わるのはこれが最初ではない。1990年代に「北野印度会社」(東インド会社もじった洒落)というカレーショップを軽井沢、清里、河口湖、山中湖、竹下通り(原宿)、ハワイなどの観光地にオープンしていた。
カレーだけでなく、たけしのキャラクター・グッズも販売していた。お笑い芸人としてのたけしの人気絶頂期であった。
また当時は、タレント・ショップの全盛期でもあった。自由が丘には元祖タレント・ショップと呼ぶべき松田聖子の「フローレス セイコ」がピーク時には20億円の年商を誇った。
このほかにも、とんねるずの「ヴァレンタイン」、田代まさしの「マーシーズ」などがあったが、現在では「フローレス セイコ」がブランド名を「フェリシア♡クラブ SEIKO MATSUDA」と変え、場所も原宿に移して、何とか存続しているだけで、他はほとんどが閉店している。
タレントが芸能界から消えてしまったり、人気がなくなれば、当然のことながらタレント・ショップもなくなる。
さらに最近は、ネットショッピングが一般的になり、観光地などで人気芸能人のキャラクターグッズを買うことの楽しさがなくなり、タレント・ショップは下火になっている。
観光地立地型のタレント・ショップは流行らないが、現在大成功しているのがモデル梨花(45歳)によるセレクトショップ「メゾン ド リーファー」である。
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ファッションメーカーのジュンによって2012年に代官山に1号店がオープンしたが、乳母車で来店するママたちの根強い人気に支えられて、新宿、横浜、名古屋、博多と多店舗化している。ネットによる売り上げが30~40%と言われており、実店舗とネットの相乗効果を上げている。
元グラビア・アイドルでタレントの若槻千夏(34歳)により2009年に始まったファッション・ブランド「W♥C」は20歳前後のギャルに大人気だった。
しかし毎シーズンファッションショーを続けたい意向の若槻とコスト面からショーには否定的な企業側(ウイゴー)の食い違いから、2013年に若槻はデザイナーを辞めている。ブランドは存続している。
女性タレントによるタレント・ブランドで、最大のヒットになったのは、10年ほど前に爆発的に売れた神田うの(43歳)による柄入りパンティストッキング「トゥシェ(TUCHE) UNO KANDA」だろう。
もう販売を終了しているが、販売元はグンゼだが、パンスト・ブランドとして2000万枚販売という不滅の大記録をマークした。
パッケージには、脚線美を強調した神田の写真がデカデカと載っており、これを履けば神田うのみたいな脚線美になれるという錯覚を引き起こしたようだ。
イメージだけでなく、神田は、ワンポイントチャームや耐久性に関するアドバイスを行ったりして、売り上げに貢献していたという。
現在最大のタレント・ブランドを手掛けるのは、LDHアパレルだ。
EXILE関連のアパレル商品やグッズを扱っているLDHジャパンの子会社だが、グループの優等生として業績を伸ばしている。
幾分翳りが見えるAKB48に比較すると、EXILEは依然ソフト・ヤンキー層の圧倒的な支持を集めて続けている。ソフト・ヤンキーとは暴走や違法行為はしない準ヤンキーである。
その支持に支えられて、EXILE関連アパレル商品やグッズの売れ行きも緩やかな右肩上がりが続いている。
浮き沈みの激しいタレント・ブランドというイメージとは程遠く、下手なアパレル・ブランドなどよりセンスは上で、売り上げも大きい。
(2018.11.19「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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