我々の世代だとラブ・ドールと言われてもピンとこないが、今年の新入社員に尋ねると「ダッチワイフのほうが普通です」と言っていた。
「ダッチワイフ」というのは現在では日本でしか通用しない英語らしい(SEX DALLが一般的)。
この他にも「ダッチアカウント」(割り勘)「ダッチロール」「ダッチオーブン」とダッチ言葉があるが、これは万国共通だという。
「ダッチオーブン」はウィキペディアによれば、特にイギリス人は、「~もどき」を「ダッチ~」と呼ぶ習慣があったので本物のオーブンではないがオーブンとして使える鍋を「ダッチオーブン」と呼んだのではないか、とある。
この蔑称攻撃は1600年ごろのアジア貿易をめぐるオランダとイギリスの覇権争いが絡んでいるのだろう。
それにしても、日本でのみ使われている和製英語「ダッチワイフ」はオランダの対して相当に失礼ではないか。鎖国時代、日本人は、オランダ人にはかなりの恩義があるはずだ。
トルコ政府の猛抗議で「トルコ風呂」が「ソープランド」に変わった経緯を知る者としては、これを機にオランダ政府にご注進したい気持ちだ。アクションは起こるだろうか。
今回の「ラブ ドール展」は東急文化村近くのギャラリー「アツコバルー」で開催されたのだが、100人も入ればいっぱいの狭いギャラリーだった。
1階のコンビニ横で5階のギャラリーまで行く小さなエレベーターを待つのだが、当然渋滞して行列ができた。大盛況というが、もう少し大きな場所でやれなかったのか。
ラブ・ドール展にて
このギャラリーはアツコさんがオーナーで、展示を見ながら酒やソフトドリンクも飲めるバーカウンターもあるギャラリーなのだが、何故ここで開催したのかは聞きそびれた。
入場料は1000円(障害者800円)で、特に入場年齢制限がないのと写真撮影OK(奥の篠山紀信の写真2葉は例外)というのが、なかなか良かった。
さらに消毒布で手を拭けば、ラブ・ドールのシリコン製の肌や「内部」に触れることができるというサービスぶりである。
新聞や雑誌でかなり取り上げられ、とくに女性の来場者が多いことが話題になっていた。私が行った日も半分は女性だった。
ラブ・ドール展にて
「男性って、どういうもので性欲を処理しているのか興味があって」「単純に面白そうだから」「人形が好きだから」となどという動機が女性の来場者には多かったようだ。
逆に男子の来場者の来場動機ってなんなのだろうか(笑)。
こういう展示を恥ずかしがる女子というのは確かに少なくなっているのだろう。
立ち食いそば屋や牛丼屋や脂ぎったラーメン屋や薄汚い居酒屋に女子が押し寄せてくる時代であるから、当然と言えば当然だ。
しかし本来薄暗い場所にあるべき薄暗い性欲の薄暗い捌け口を白日の下に晒してしまうのはどうなのだろうか。
ますます日本の出生率は下がりそうな気がするのは私だけだろうか。
なお今回の「ラブ・ドール展」を見逃したみなさん、ご安心下さい。
台東区上野にあるオリエント工業のショールームは事前に予約すれば見学することができるそうです。