「windblue」 by MIDIBOX


(葉羽)本人の依頼により、ブログ記事を転載しました。

最初に正直に告白しておくと、私はかなりアナログ&ローテクな男である。

 今も蒲団に寝っ転がりながら、固い板に原稿用紙をとめて、そのマス目をボールペンで埋めている。

 大体いつもこうして原稿を書いている。電車の中でも同じように書く。

 で、これをパソコンで自ら打ち直すこともあるが、打ち直してもらったり、そのまま印刷所に送ったりもする。

 パソコンの画面を見て、メールならともかく、原稿を書こうという気にはなれないのだ。

パソコンで・・

 そういう風にしてもう30余年も書いているのだから、今更直すというのも億劫な話である。

 蒲団の右側には結構大きな坐り机も置いてあるが、CDや新聞や郵便物が積んであって、とてもこの上で書くどころではない。

 本は会社の女性社員から勧められた漫画「デトロイト メタル シティ」や橋本治・著の「日本の行く道」(集英社新書)、門倉貴史・著の「官製不況」(光文社新書)や「レコード芸術」(音楽之友社)など。

 CDを聴きながら書いたり読んだりするのだが、クラシックとジャズが多いなか、なぜか嘉門達夫のギャグCD、落語CD&カセットテープも積み重ねられている。

嘉門達夫

 こういうライティングスタイルは、どうも坂口安吾(1906-1955)に影響を受けたようだ。

 蒲団の上に坐って、書き損じた原稿用紙を大量に丸めて捨てた山に埋もれながら、丸メガネをかけた安吾が万年筆で原稿用紙に向かいながらこっちを向いている、という有名なヤツ。

 寝転がりながらパソコンを打つというわけにはいかないだろうから、こんな感じで書くしかない。

坂口安吾

 書く内容は別に柔らかいものから硬いものまで色々だ。

                

 

 さて、私のアナログ&ローテクぶりをくどくど説明してきたが、実はこの原稿は『webUOMO』(ウエブウオモ)の創刊に合わせたもので、ウェブサイトの将来性、可能性を論ずるという趣旨でと担当者から言われている。

 が、“遅れて来た鬼っ子”とも言うべきウェブサイトが、本、雑誌、TV、ラジオ(実は最近これにハマっている)のメディアに伍して、どれだけ生活者たちの間に浸透しており、あるいは浸透していくのかについてはあまり考えたことがない。

 この私とてネット・サーフィンは毎日30分程度しており、各種の情報や気になるブログなどはパソコンで見てはいる。

 どうも、この“毎日”ということがポイントのようだ。

 本を読まない日はあってもネット・サーフィンをしない日は確かにないのだから、遅れて来た鬼っ子は、この私にも確実に接近していることを知る。

 こうしたメディアとの接触時間は限られているはずだから、TV、本、雑誌などに影響が出ているのだろうが、そんな感じはない。

ネット・サーフィン

 睡眠時間(歳のせいか最近はせいぜい1日5時間程度)が削られているのだろうか?

 ネット・サーフィンで情報や様々な考え方に触れて、私はより賢くなっているのだろうか?

 甚だ疑問ではあるが、まあそういうことにしておこう。

 まあなんだかんだとウェブサイトのコンテンツの特性について考えてみたが、簡単に言えば、読ま(見ら)れるかどうかはコンテンツの面白さ次第なわけで、面白いものが見られるなら、人は本だろうが、TVだろうが、ラジオだろうが、ネットだろうが関係なく寄って行くものなのだという当たり前の結論に辿り着く。

 せいぜい、私は私なりに面白いコンテンツを蒲団に寝っ転がりながら書いていこうと思っている次第である。

 乞うご期待。

                

(2009.2.28「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)



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