「グランピング」が今年のファッショントレンドとして注目されている。従来とは違って、もっとラグジュアリーなスタイルのキャンプやピクニックが生活の一部になり、それに対応したファッションが求められるというストーリーである。
実際に欧米では、一部の富裕層の間で「グランピング」が一般化しているらしい。
簡単に言ってしまうと、汗を流し、肉体を酷使して山を登り、丘を越えて辿りついた山頂や高原で、美しい昼食にありつくという爽快感のあるスポーツとしてのピクニックやキャンピングではなく、すでに用意された山小屋やテントに着飾ってヘリコプターでやって来て、その絶景を愛でながら美味い食事にありつこうという、ちょっとばかりバブリーでスノッブで一般人にとってはちょっとばかり嫌味なピクニック&キャンプである。
こんなライフスタイルが日本に実現されるのだろうかと、半信半疑だったが、やはり「グランピング」をビジネスに結び付けようという人々がいるものである。
ひとつは銀座3丁目にあるブルガリ銀座タワー最上階(11階)に4月22日から5月10日まで期間限定でオープンした「Ultimate Picnic Experience with Dom Perignon」というピクニックコーナーがそれ。
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シ銀座ブルガリタワーの最上階(11階)
の都会のど真ん中でピクニック気分
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4万円(消費税&サービスチャージ別)を支払うと、このコーナーを貸し切り(最大4人)、階下(9階)の「ブルガリ イル リストランテ」特製のピクニックバスケットと最高級シャンパン「ドン・ぺリニヨン ヴィンテージ 2006年」を楽しめるというもの。
屋上テラスならではの開放感の中で、自然の風を感じながらピクニック気分を満喫できるという謳い文句である。予約が殺到したようである。
もうひとつは、東京国際フォーラム、あべのハルカス、ラスカ小田原、六本木ヒルズなどの屋上緑化事業で注目を集める東邦レオが仕掛ける「屋上グランピング」だ。
東邦レオはすでに2010年秋から「プラスワンリビング」の名で5000棟を超える「屋上リビング」を提供していた。が、ファッション業界(セレクトショップのリステア元副社長)や飲食業界(カフェ・カンパニーの現副社長)での経験のある吉川稔(よしかわみのる)氏を子会社のイノベーション社社長に招き、されにオシャレな「屋上グランピング」を提供しようと考えた。
4月1日には、ウッドデッキ、収納スペース、日よけなどのデザインを加えた30畳(約50㎡)の木造住宅用屋上グランピングテラス(価格150万~200万円)を発売した。
吉川氏は、「『屋上』を売るのではなく、感動や空気感、シーン、幸福感や豊かさを提供する企業を目指していく。様々な分野のクリエイターと一緒に様々な仕掛けや夢を表現するようなムーブメントにしたい」と語っている。
欧米の富裕層たちが楽しく本格的グランピングは無理にしても、この屋上グランピングなら我々日本人でもリッチな気分になれるかもしれない。
(2016.5.5「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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