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ファッションビルのルミネを運営する(株)ルミネはJR東日本の子会社である。そのためその大部分は、駅ビルという形でJR東日本の駅の中に作られている。

 ルミネが2000年代に大きく成長したのは、なんと言ってもこの好立地が最大要因である。

 現代人の消費行動を決定づけているのは2つの節約だと言われている。すなわち「お金の節約」と「時間の節約」である。

 「お金の節約」はファストファッションの隆盛が証明しているが、「時間の節約」はネットショッピングや駅ビルの活況が立証していると言えるだろう。

 ルミネは、駅ビル以外にもルミネマン渋谷、ルミネ有楽町をオープンしているが、駅ビルほどの人気を得てはいないのが実情だ。

 そのルミネが新業態として「NEWoMan」を新宿駅の新南エリアに3月25日オープンした。

 「NEWoMan」は地上33階地下2階の新宿ミライナタワーの1階-6階の商業施設で、店舗面積は7600㎡で、店舗数は約100店舗だ。ちなみに商業施設以外はオフィスとして賃貸される。

 新宿には東口にルミネエスト、南口にルミネ1、ルミネ2の3館があり、いずれもターゲットはいわゆるF1層(20~34歳の女性)であるが、その中心は20歳代。今回の「NEWoMan」はF2層(35~49歳)を狙っている。

 店名はNEWとWOMANの造語で、ルミネがこの駅ビルでターゲットにしている新しい女性像ということだろう。ただしアクセントを前に置くと「NEW MAN」(新しい男)になるから要注意だ。

 現在あらゆる小売業でF2層の消費をいかに制するかが大きな課題になっている。今の百貨店や従来のルミネではF2層を捉えきれないのだ。

 このNEWoManにはその試みが徹底して盛り込まれている。

 まず約100店舗のショップのうち、半数が食品と飲食店店舗になっているのが注目される。ファッションに強いイメージがあるルミネだが、F2層には「花より団子」ということだろう。

 話題の飲食店の誘致だけでなく、直営で和菓子の「えんなり」やロサンゼルスの「800 ディグリーズ ナポリタン ピッツェリア」をスタートしているのは大いに注目される。

 さらに2階には、朝食やディナー、バータイムのニーズにも対応する朝7時から深夜4時まで営業するフードホールが4月15日にオープンするが、日本の四季を鮨で表現する「スシ トウキョウ テン」など5店舗が出店。眠らない街、新宿らしいフードコートで人気を呼びそうだ。

 さらに5階には、保育園、7階にはクリニック、薬局なども完備し、子供連れの女性や、病院通いのついでにショッピングや飲食を楽しんでもらおうという狙いだ。

 加えて屋上には会員制の菜園も設置し、食や健康にも関心の高い女性が満足できるコンテンツを用意している。

 「文化」のコンテンツも充実している。5階には、文化交流施設「ルミネ ゼロ」があるが、同施設内には約300㎡の大型ホールと100㎡のスタジオを完備し、セミナーから展示会までフレキシブルに対応できる。

 今のF2層のライフスタイルを研究した成果が表れている。F2層にとって、食の充実、サービスの充実、カルチャーの充実はファッション消費を誘発するための大前提だとNEWoManは考えているようだ。

 肝心のファッションゾーンで注目されるのはコスメティックゾーンだ。

 特にメインエントランスにあたる2階には入ってすぐの場所に「シャネル」のコスメティックブティックが入店。

 「NEWoMan」の向かいにあるルミネ2には、化粧品のセレクトショップの「イセタンミラー」が2012年3月にオープンしていたが、なぜか「シャネル」だけはテナントになかったが、その大物ブランドの誘致が今回「NEWoMan」で実現したことになる。

 この他にもコスメティックは8店舗が出店していて充実している。

 F1層と違ってF2層は化粧にお金をふんだんにかけるのだから当然の構成ともいえる。

 またファッションについては全体にかなり感度が高く、セレクトショップの新業態がエリア初出店しているのが注目される。

 いずれにしてもNEWoManには30代、40代を引き付ける新機軸が満載で、思惑通りF2層をひきつけられるのかどうか大いに注目される。

                

(2016.4.20「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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