ワールドカップの深夜・早朝観戦が日課になって、体調不良に陥っている。さらに追い討ちをかけるように日本代表のあまりに不甲斐ないグループリーグ敗退。
キャプテンの長谷部誠が自身の6月25日のブログでこう書いている。
――今回、改めてサッカーは世界の文化であると感じました。その中でも強豪と言われる国は100年、200年といった歴史がありサッカーが文化として深く根付いています。日本ではJリーグが始まって20年程でありサッカーが文化として根付いているとは到底言えません――
長谷部キャプテンから「サッカーは文化である」発言が聞けるとは思いもよらなかった。なかなかインテリジェンスのある男なのだ。
長谷部の言葉をまつまでもなく、私自身も特にヨーロッパという老熟したエリアがその命脈をなんとか保っているのは、オペラを始めとしたクラシック音楽、ラグジュアリー・ブランド、サッカーの3つが大きな鍵になっていると常々思っている。
ワールドカップに私が惹かれるのは、その戦いぶりにその国の「国柄」が強く反映するからである。
例えば今大会では、ギリギリのところでグループリーグ突破を果たしたギリシャの底力に「なるほどなあ」などと納得している。
一方、相変らず淡白なイングランドのグループリーグ敗退やしばらく前までは「無敵艦隊」と呼ばれ敵なしだったスペインが以前の勝負弱いチームに戻ってグループリーグ敗退したのも「なるほどね」なのである。
イタリア人の監督のもとで前評判の高かったチームが「意味不明」の敗退に終わり、「国柄」すら刻印することができなかったというのは、長谷部が言うように日本の「サッカー文化」が20年程度のためなのかもしれない。
敗退するにしてもやはり「文化的」にしていただきたかったものである。
翻って、私の本分であるファッションのことを考えてみるとドキリとさせられる。
戦後せいぜい70年程度の日本のファッションに、本当の意味での「文化」は根付いているのだろうか。
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JRunway
(シンガポールにある日本ブランド店)
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軽率な結論は控えよう。
ワールドカップと違って、勝ち負けがないとも言える世界ではあるが、そのことがまた問題でもあるのだ。
(2014.6.28「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)
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