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TV録画していた映画「無頼漢」(1970年 篠田正浩監督 104分)を見る。

 大島渚、吉田喜重らと並んでこの映画を監督した篠田正浩は松竹ヌーヴェルバーグの一員として語られるが、この映画に限らずただその時期(1960年代)に松竹を退社しただけで、職人監督というか、話題作を映画化している映画監督というか、夫人の岩下志麻付き監督というのか、強い自己主張はない。

 同じ松竹出身で似たようなキャラクターの映画監督である山田洋次はもっと一本筋が通っている。

「無頼漢」(1970年 篠田正浩監督 104分)

 この映画も篠田正浩特有の時代ものである。ならず者の仲代達矢と花魁の岩下志麻が一応主役だが、水野忠邦の天保の改革に怒る庶民というテーマの群像劇だ。なんと寺山修司の脚本である。

 私のようなオールドファンにとっては知っている俳優が多数出演していて懐かしさの極み。主要キャストは以下の通り。

 しかし殆どの俳優が鬼籍に入ってしまった。主だったところで生存者は、篠田正浩監督&岩下志麻夫妻、好色大名を真面目に演じている中村敦夫ぐらいである。

  蜷川幸雄(1935〜2016)がクレジットされているが、はて?この映画のどこに出ていたのかしらと、1時間かけてこのつまらない映画を丹念に見直した(笑)。

 私も暇だよなあ。見つけました‼️

好色大名役の中村敦夫を諫める家臣役の蜷川幸雄

 しかし好色大名に貞操を狙われる腰元(太地喜和子)をかばったために主君に不義を疑われ斬られそうになる。

 ああ、この顔か。1960年〜1970年代に結構映画やTVに出演していたなあ。

「無頼漢」(1970年 篠田正浩監督 104分)

 wikipediaによると太地喜和子から演技にダメ出しされたのを機に役者から演出家に転じたという。

 たしかにこの映画でもちょっと華がない。

 しかしさっさと演出家になって大正解。「世界のニナガワ」にまで登りつめた。

 人間、見切りが大切、ということか。

(2020.5.15「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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