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Warming 1
こんにちは。「ロマンサイエンスの夢先案内人」、岸波です。
貴方をまたも“the roman science of the cosmos”の世界へご案内します。
“人為的に排出された二酸化炭素”、これが地球温暖化のキーワードとされてから久しい感がありますが、ある日、ケイコがこんなことを言いました。
「地球の人類っていったって、たかが60億。
全員を隙間無く立たせたら、淡路島くらいで間に合うって言うじゃない?
そんな人類が出した二酸化炭素くらいで、地球が温暖化しちゃうの?」
ふむぅ・・・
たしかにそう言われてみると、少しアヤシイ気もしてくるね・・・。
調べてみると、最近、様々なサイトで専門家集団による反論や反証が展開されています。
どうやら“二酸化炭素悪玉説”の根拠は、磐石ではなくなったようなのです。
ともあれ、僕が疑問に思うのは、地球温暖化に対する二酸化炭素の“影響度”の問題です。
冷静に考えれば分かるように、地球の気温を決定する最も大きな要因は、太陽エネルギーの周期変動と太陽・地球間の距離の周期変動にあるはずです。
二酸化炭素だけに限って考えても、大量の二酸化炭素を放出する火山活動などと比較して、人為的に排出された二酸化炭素の影響度はそれほどに大きいのでしょうか?
はたまた、排出された二酸化炭素は、循環もせずに大気中にとどまって、どこまでも温暖化を亢進させてゆくのでしょうか?
このシリーズ「地球温暖化」では、そのあたりを検証して行きたいと考えています。
1 素朴な疑問
「炭素燃料の燃焼等による人為的排出二酸化炭素の温室効果によって、20世紀の100年間だけで地球の平均気温が0.6度上昇した。」
二酸化炭素温暖化論者は、こう主張します。
しかし、ここに興味深い地球観測データがあります。
上昇したとされる0.6度のうち0.4度までは、実は1940年までに上がりきっているのです。
人為的に排出された二酸化炭素は、一貫して右肩上がりで増加しているのに、何故、このような現象が起きるのでしょう?
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・1900年から1940年までに平均気温は0.4度上昇。(20世紀100年間では0.6度)
・人為的排出二酸化炭素量は一貫して上昇。特に20世紀後半から増加量大。
※二酸化炭素が地球気温上昇の原因なら、後半で伸びるはず? |
地球は14世紀中葉から19世紀中葉までの間、「小氷河期」と呼ばれる寒冷な気候にありました。
スイスのアルプスの氷河が拡大して谷筋の村々を押し潰したり、ニューヨーク湾が凍結して、マンハッタン島からスタッテン島まで歩いて渡れるほどでした。
この主な原因は、太陽活動が長期にわたって停滞(1645-1715)したことと世界各地の広範な火山活動によって大気上空に吹き上げられた火山灰が太陽光を遮断したためでした。
(一般的に太陽活動の停滞期には太陽の黒点の数も減少するが、上記期間は極端に減少したため、観測史上「マウンダー極小期」と呼ばれています。)
この小氷河期は1850年頃まで継続し、以後、回復を始めるのですが、二酸化炭素温暖化論者が問題視している「ここ1世紀」のスタート地点は、まさにその“気温回復過程”に当たるのです。
とすると、この100年間の気温上昇というのは、“単に寒冷な気候から始まっただけではないのか”という疑問が湧いてきます。
2 二酸化炭素の相対量
環境庁が公表している「産業革命以降人為的に排出された温室効果ガスによる地球温暖化への直接的寄与度」というデータがあります。
その中では、二酸化炭素が63.7%と圧倒的なウェイトを占めています。
ところが・・・
温室効果ガスの大部分(97%)を占めているのは、実はこの表に載っていない水蒸気なのです。
何故、表から削除されているかと言えば、あくまでも環境庁が発表しているデータというのは“人為的に排出された”温室効果ガスであるためで、多くの人がこうしたデータ操作から誤った印象を与えられているのではないでしょうか?
水蒸気以外の温室効果ガスというのは、たった3%の内輪の数字でしかないのです。
しかも、その僅か3%の中には、無視できないであろうと思われる火山活動や地球面の多くを占める海洋表面からの蒸発など、地球の“自然活動”に由来するガスも含まれているのです。
さらに・・・
その温室効果ガスの大部分を占める水蒸気でさえ、地球の大気の中では僅かに2%を占めるに過ぎないのです。
では、「人為的に排出された二酸化炭素」が地球の大気に占めるウェイトというのは、いったいどの程度になるのでしょうか?
二酸化炭素温暖化科説の立場をとるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、大気中に存在する二酸化炭素量のうち“最大限に見積もって2/3”としています。
しかし、二酸化炭素は人類が登場する遥か以前から存在しているものですし、自然のメカニズムの中では火山によっても大量に供給されています。
人為的な排出量がこれほどのウェイトになるということは、果たしてあり得るのでしょうか?
しかし、仮にこの途方も無い数字が真実だと仮定しても、単純計算して温暖化ガス全体の1.2%、大気全体の0.025%を超えることはないのです。
僕が、この数字を調べる前に抱いていた印象とは大きくかけ離れています。
(貴方はいかがでしょう?)
3 大循環メカニズム
もう一つ、重要な指摘があります。
名城大学総合センターの槌田敦教授によれば、温室効果は既に地表からの赤外放射の95%程度を補足しており、今後どんなに温室効果ガスが増えても、温室効果の増加は最大で5%未満ということです。
さらに、二酸化炭素による捕捉可能な波長帯域では、既にかなりのエネルギーが吸収されており、温室効果に有効に働く二酸化炭素は既に飽和状態に近いということです。
してみると、二酸化炭素の濃度がどんどん濃くなっていくということもありえないし、その温室効果で、気温がどこまでも上昇して行くということもなさそうです。
この“二酸化炭素の飽和”については、興味深いデータがあります。
1991年に、フィリピンのピナツボ火山が噴火し、大量の火山灰が吹き上げられて成層圏にまで達しました。
そして、その噴煙が太陽光を遮断したため、ハワイや南鳥島で観測されていた数年来の気温上昇傾向が、以後数年間にわたって横這いへと変化したのです。
ところが・・・
それら二つの観測所で観測された大気中二酸化炭素濃度には変化が見られなかったのです。
この間、火山の噴火によって大量の二酸化炭素が噴出し、一方では人為的に排出された二酸化炭素も増加し続けたはずなのですが・・・。
逆に、噴煙の影響が減少して気温が上昇に転じると、数年遅れで二酸化炭素濃度も増加を始めました。
観測的事実としては、二酸化炭素の増加が気温上昇を亢進させているというよりも、気温上昇が起きた結果として二酸化炭素が増加するという因果関係になっているのです。
もう一つ、南極にあるロシアのボストーク観測基地で、2000メートルに及ぶアイス・コアの分析が行われた調査でも不思議な結果が出ています。
アイス・コアから、過去22万年間の地球の気温と大気中二酸化炭素等温室効果ガスの濃度変化に関するデータが得られ、これらは確かに相関関係にあったのですが・・・
ここでもやはり、大気中二酸化炭素等の濃度は、地球気温の変化が生じてから、後追いで変化したことが確認されたのです。
これらのことから、短期的・長期的観測のいずれからも、温暖化と二酸化炭素濃度の因果関係は、通説とは逆であると言えます。
すなわち「二酸化炭素の増加は、温暖化の原因ではなく結果」ということです。
ならば、火山や人類が排出した二酸化炭素はどこへ行ってしまったのでしょう?
■ 火山から排出された二酸化炭素はどこへ行ったのか?
槌田教授の「温暖化ガス飽和説」を前提とすれば、火山等から排出された二酸化炭素は、飽和値の限界を越えることが出来ずに、何らかの形で循環し、地球に吸収されたものと考えられます。
例えば、森林の光合成を促進させて取り込まれることや降雨に溶け込んで地表に還元されることが想定されますが、これだけでは、地球が温暖化して飽和値が上昇した場合の供給源が説明できません。
何故なら、地球が温暖化するたびに、都合よく後追いの火山噴火が生じるとも思えないからです。
とすれば、気温上昇後の二酸化炭素増加は、もっと大きな全地球規模のメカニズムに起因していると考えるのが妥当でしょう。
火山よりも大規模なメカニズム・・・結論から言えば、地表面の大きな割合を占める「海洋面」が調整機能を果たしていると考えられます。
この「海洋面大循環」のメカニズムと比較すれば、火山の影響さえ僅かなもの。
そう考えると、“人為的排出二酸化炭素の温暖化寄与度が最大に見積もって2/3”とするIPCCの主張は、現実的でない気がします。
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宇宙から見た地球
(ガリレオ衛星)
←ジブラルタル海峡付近 |
■ 二酸化炭素の温暖化寄与度は限定的?
また、地球気温が上昇すれば、確かに温室効果ガスの飽和値が上昇して、気温上昇を助長することになりますが、その効果は極めて限定的なものにとどまるのです。
温暖効果は、あくまでも地球からの赤外放射の一部を取り込んで地球に還元するものです。
地球は約33度の温室効果を受けていると言われ、生物に大きな恩恵をもたらしているわけですが、既に95%の赤外放射は取り込まれているので、残量は最大でも5%に過ぎません。
しかも温室効果ガスの97%は水蒸気によるものですし、二酸化炭素の温暖化効果は他の温室効果ガスと比較しても微弱なものですから、そこだけを捉えて議論するのは、いかがなものでしょう?
ましてや、その二酸化炭素だけに限定しても、海洋や火山による「自然大循環」の影響というのは、とうてい無視できないウェイトを占めているはずです。
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全球海洋画像
(地球観測衛星写真)
←プランクトン濃度データと
重ねている。 |
このように考えて来ますと、これまで疑いさえもたなかった「二酸化炭素悪玉説」というシナリオは、いきなりミステリーじみてまいります。
少なくとも、、“過去1世紀の急激な平均気温の上昇は、人為的に排出された二酸化炭素の影響無しには考えられない”と、狙い撃ちで断定するのは、時期尚早ではないでしょうか。
ならば、地球温暖化の本当の原因は何なのか?
Episodeを改めて、最新の議論をご紹介したいと思います。
/// end of the “Episode19「二酸化炭素ミステリー」” ///
《追伸》
米国のサイトを検索していたら、「現在、地球温暖化を主張している科学者たちの多くは、ほんの30年前までは地球寒冷化を叫んでいた連中じゃないか」という記事がありました。
たしかに、今から30年前までは、地球寒冷化が学会の定説であったようです。
20世紀末以降、地球の平均気温が上昇傾向にあるのは化学的事実ではありますが、それには複合的な要因が絡んでいます。
ただし、二酸化炭素悪玉説は、観測的事実に基づいて唱えられたものとは言いがたく、そのセンセーショナルな採り上げられかたに、ある種の“作為”を感じている向きもあるようです。
この理論によってメリットを得るのは誰なのか?
実際問題、「二酸化炭素削減」の名の下に、化石燃料の活用シェアを固定されてしまえば、(先進国が多少の犠牲を払うにしても)エネルギーがボトルネックとなって発展途上国の経済的発展は抑制され、既に発展の果実を手にしている国だけが高度工業製品の生産機能を独占化できるようにも思います。
ともあれ、政治・経済問題としての地球環境問題を扱うのは、another
world.の趣旨とは合いませんので、あくまで科学的な観点からの原因究明にとどめたいと考えています。
なにせ、原因を捉え違っているとすれば、水没しつつある島々に対して誤った対処法をとっている可能性もあるのですから・・・。
では、また次回のanother
world.で・・・See
you again !
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水没しつつある島
(マーシャル諸島マジュロ環礁)
←我々の対処法は正しいのか・・? |
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be continued⇒ “Episode20 coming soon!
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