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といき (詩:マラルメ 訳詩:上田敏)
静かなるわが妹、君見れば、想いすずろぐ。
朽葉色に晩秋(おそあき)の夢深き君が額(ひたひ)に、
天人の瞳なす空色の君がまなこに、
憧(あこが)るるわが胸は、
苔古りし花苑(はなぞの)の奥、
淡白き吹上(ふきあげ)の水のごと、空へ走りぬ。その空は時雨月(しぐれづき)、
清らなる色に曇りて、
時節(おりふし)のきはみなき鬱憂は池に映ろひ
落葉(らくよふ)の薄黄なる憂悶(わずらひ)を風の散らせば、
いざよひの池水に、いと冷やき綾は乱れて、
ながながし梔子(くちなし)の光さす入日たゆたふ。
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