だが、不徹斎宗守はこのタブーを破った。
そればかりか、福島官休会が「濃茶席」のために推挙した直斎一行作のお軸「ほへる(吠える)」、一翁作の茶杓「一太刀」、茶碗「若武者」と、いずれも会津魂を著す「お道具」の使用も快諾されたのだ。
その報せを聞いたとき、福島官休会の教授面々は涙を浮かべ、僕も胸が熱くなった。逆賊の無念が晴らされる「時」がやって来たのだ。
官休庵開祖一翁宗主追善茶会での茶道具
そうして、場面は「前夜」の鶴ヶ城の闇の中へと戻る。イベント業者がやって来たのは、夜21時を廻ってからだった。(おーまいがー!)
設営作業は夜を徹して行われた。寒い中、立ち続けたケイ子は体調に異状をきたしていた。
「どうしよう、もう待に合わないかもしれない・・」
夜が白々と明け始めた。だが、設営作業は完了していない。そして更に時は流れる。
「だいたい整って来た・・けれど間もなく、みんなが会場に集まって来る時間だ!」
先発で鶴ヶ城に入って来た教授らが、現場の惨状を見て騒ぎ始める。
「いったい、どうしてこんなことに!」
だが、文句を言っても始まらない。とにかく間に合わせるしかないのだ。
朝焼けの鶴ヶ城
やがて、定刻が近づいてくる。
「もうすぐ宗主が下見にやってくるわ」
「さ、最後の緋毛氈を敷いて!!」僕が絶叫する。
「宗主がお見えになったわ!」(ええ~!)
・・その瞬間、最後の緋毛氈が敷き終わった。まさにギリギリのタイミングだった!