そんなある日、学校へ行くと小笠原の姿が見えない。「風邪でもひいたのだろう・・ふっ、軟弱者めが」と心の中でつぶやいた。
しかし、小笠原の居ない「放課後将棋」はどこか張り合いがない。そもそも僕の相手になる対戦者が居ないのだ。最初から「勝てない」と分かっている相手に勝負を申し込むヤツは居ない。
仕方なく僕は他の対局のギャラリーとなり、勝負後の「指し手解説」などをやることにした。(早く治れよな、小笠原・・)
誰も居ない席
風邪なら2~3日たてば治って登校してくるだろうと思っていたのだが、予想に反し、彼は一週間たっても教室に現れなかった。
いったいどうしたんだ?・・クラス担任だった英語教師の授業の後、小笠原のことを訊くことにした。
英語教師(イメージ)
すると、彼は医大病院に入院したのだという。どうやら急性肝炎が悪化したらしい。
肝臓病・・風邪ひきか頭痛、腹下しぐらいしか病気を知らなかった僕はその響きに不穏なものを覚えた。
幼少時「三歳まで生きられない」と医者から言われていた病弱な僕は、高校生になる頃「難聴」以外は奇跡のように回復して元気になっていた。
とりあえず僕は、病院に行って小笠原の様子を見てきたいと思い、その放課後、チャリで医大病院へ向かった。