岸波通信その113「好山園の一番長い日」

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Present by 葉羽
「手を繋いで」 by TAM Music Factory
 

岸波通信その113
「好山園の一番長い日」

1 いざ好山園へ

2 風雲急!

3 さあ、食べるぞ!

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  The longest day of the Kozan-Garden 【2018.3.23改稿】(当初配信:2004.8.1)

「アルコールは人間にとって最悪の敵かもしれない。
 しかし聖書には汝の敵を愛せよと書いてある。」
  
・・・フランク・シナトラ

 敬愛する好山楽翁師匠とともに暴挙に挑戦いたしました。

 時は文月24日、折りしも相馬地方では、騎馬武者達が神旗争奪に挑む「相馬野馬追祭」の真っ最中。

 ここ福島庭坂の好山園では、楽翁&葉羽の両一族とお友達、計10数名が参集し、「流しソーメン」の宴を繰り広げようとしていたのでありました…。

好山園山荘

好山園山荘

(福島市庭坂7/24)

daddyねぇ、なっちヤン、明日はいよいよ「流しソーメン」ですよ。楽しみだなぁ!

なっち様あ、Yさんの好山園山荘ですね、局長?

daddyええ。まずは竹を割るとこからやるんですよ、設備づくりから…。

なっち様あのぅ…まことに言いづらいコトなんですが。

daddyん? 何でしょう?

なっち様人間を無理やり「器用」と「不器用」分けたとしますね。(むりやりに…)

daddyふむ、分けたとすると?

なっち様するってぇと、Yさんて「不」の付く方に入るかもしれません。

daddyげっ! あんなにおせっかいで、涙もろくて、強くて、優しいのに?

なっち様そーです。おせっかいで、涙もろくて、強くて、優しいけど「不器用」なんです。(多分)

daddyでもって、照れ屋で、無口で、気前が良くて、水虫なのに?

なっち様少し違うと思います。(それ、さだまさしの「8番目の青春」でしょ?)

daddyふむぅ…。

 なっちヤンのアドバイスを受け、急遽、NISHINISHI君ら三人の若い衆を助っ人としてメンバーを補強。

 後は野となれ山となれ。雨天決行、不退転の決意を固める中、その運命の日はやってきたのでありました。

 ということで、今回の通信は“好山園の一番長い日”、「流しソーメン」一大イベントの顛末をお届けいたします。

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1 いざ好山園へ!

 雨天でも決行と覚悟を決めて明けた土曜日。

 さすがに日頃の行いがいい我らがメンバー…空は雲一つなく晴れ上がり、10時半と決めた待ち合わせ場所にそれぞれの車は急いでおりました。

 参集メンバーは、岸波親父車に乗り込むのが僕の親父息子のユウキ、そしてその友人のチャマキ

 カミサンのケイコが運転する車には、僕ら夫婦とニュージーランドからお迎えしている国際交流員のニコラ・ブラゼンデール(通称ニコちゃん)さん。

 他に助っ人のNISHINISHI君ら三名の一行、案内役であり、好山楽翁師匠の甥っ子であるすずき君すずき君の一行・・・都合4台。

 一方、山では好山楽翁楽翁師匠の夫妻とそのお姉様家族が待ち受ける。

 さてと、ニコちゃんを迎えに行く車の中で…。

daddyあのね、ケイコ・・・山荘ではね、女性にはトイレが不自由かもしんないよ。

あら、そーなの? じゃ、ニコちゃん乗せたら、どっかのコンビニに寄ってちょうだい。

daddy分かった。僕からは言いづらいから、ケイコからそれとなく誘ってね。

よっしゃ! ニコちゃん、途中で連れションよぉ!

オーノー! ワタシ連れっション、ワッカリマセーン?

daddy・・・・・・。

 4台の車は、予定通り待ち合わせの庭坂運転免許センター前に集合し、すずき君を先頭に、山荘への道を分け入って行く。

 鳥の声がカン高く森にこだまし、まるで軽井沢のリゾート地にでも向かっているよう。途中、川で水遊びをしているたくさんの子供たちもいる。釣り人たちもいる。

 今まで知らなかったが、この辺りは、意外と隠れた名所なのかもしれない…。

 景色を眺めながら、15分ほど上っていくと“好山園”に到着。かなりの傾斜がある登り口を30メートルほど上がっていくと、急に視界が開ける。

 “四季彩々”の写真で見慣れた山荘の風景がそこにあり、楽翁師匠夫妻の暖かい歓迎が待っていました。

山荘近くの谷川

山荘近くの谷川

(好山園7/24)

←バラバラになったデッキチェア!

好山楽翁いやぁ、お待ちしてました。今日は協力して成功させましょうね、局長。

daddyこちらこそよろしく。今日は暑いですねぇ、ビールが美味しそうだ。

好山楽翁お酒は日本酒も用意してますよ。・・・なんと“花泉”です!

daddyおっとー! もしかして“まぼろしの辛口”ですか?

好山楽翁さすがに・・・今日は、それはありません。あはははは。

daddyですよねぇ。辛口はなかなか手に入らないでしょ?

好山楽翁いえ、そうじゃなくて…あったら真っ先に飲んじゃいますから。

daddyうわっはっはっは! (あったんだ?)

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2 風雲急!

 さて、メンバーが勢揃いしたところで、概ねの役割分担。

 何せ、ゼロから設備を立ち上げるので、かなり手間はかかる。

 ユウキとチャマキが太目の竹を割り、流し樋を作り始める…ふと竹を見ると、太さや長さが結構バラエティに富んでいる。湾曲しているものさえある。

楽翁師匠と令夫人

さぁーてと…

(好山園7/24)

←楽翁師匠と令夫人

daddyところでYさん、これをどーやって立ち上げるんですか?

好山楽翁竹でつっかえ棒すれば立つでしょう。(多分)

daddyええー! やっぱり、細い木で足組みしないと安定しないですよ。細い木は?

好山楽翁ないです。(きっぱり)

daddyこれだけ?

好山楽翁これだけです。(きっぱり)

daddy・・・・・・・・・。

 ということで、助っ人三人組が森の中に入り、細い枯れ木を調達して足組みを作る担当に。

 親父やすずき君が竹の節抜きやっている間、僕は割り損じた細い竹で足組みの見本を作る。(←実は結構“器用”)

 そして、給水設備の方を見に行くと、ポリタンクに直接蛇口を付けた簡易設備で水を流す構想らしい…。

daddyあの、コレって、あっという間になくなっちゃうんじゃ? (18リットルだし。)

好山楽翁もう1本ありますから大丈夫です。(ポリタンク)

daddyええー! 2本だけ? …他には?

好山楽翁ないです。(きっぱり)

daddyほんとに、これだけ? …あ、いいです。(応えは想像つきますから)

で、近くに水を汲めるところとかは?

好山楽翁あ、それなら、すぐそこに「名水の湧き水」が。(池の上のとこ)

daddyなんだぁ、それを早く言ってくれなくちゃあ!

 ということで、水切れに備え、「名水の湧き水」を確認に。

 山荘のベランダから、この池まで約20メートル少々。この間に樋を渡し、最後に取り残したソーメンは、コイのエサにするという構想だ。

 だが、ちょっと“富栄養化”などという言葉が脳裏をよぎり、「池への放流許すまじ!」と心に誓う。(←実は結構“細かい”)

 さーぁてと、湧き水は…?

daddy・・・・・・・・・。

daddyYさーん!

好山楽翁どしました、局長?

daddyもしかして、「名水の湧き水」って、あのピッチャン、ピッチャンって一滴ずつタレてるやつですか?

好山楽翁そうです。(きっぱり)

daddy・・・・・・ま、節水しながらやりますかぁ。

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3 さあ、食べるぞ!

 何とか材料がそろって来たので、いよいよ、「ソーメン・スーパーハイウェイ」の設置に取り掛かる。

 竹樋のつなぎ目のところが難所で、下り勾配を保ちつつ竹を組み合わせていく・・・ここのトコロは設計者のYさんが自ら取り掛かる。

daddyYさん、この竹の樋、少し角度が足りないんじゃ? 

好山楽翁あっはっはっは、そーですか? じゃあ、コレでどーだ?(どっこいしょ)

ほらぁ、見事に竹の樋が繋がったでしょ?

daddyなんかYさん、コレ、V字型になってますけど・・・。

好山楽翁いやぁ、そんなことぐらい…思い切り水を流せばだいじょぶですよ。(多分)

daddy・・・・・・・・・。(地球の重力を甘く見てませんか?)

 と、まあ、いろいろありながらもハイウェイは遂に完成。(ふーチカレタビ。)

 Yさんの奥さんとケイコの二人がソーメンを次々に茹で上げ、僕とすずき君が切り出した竹のオチョコと割り箸を持って、メンバーは配置に付く。

好山楽翁みなさーん、行きますよぉー!

daddyよっしゃー、もう矢でも鉄砲でも、ソーメンでもテポドンでも何でもコーイっ!(やけくそ)

“放流”許すまじ!

さあ来い!

(好山園7/24)

←“放流”許すまじ!

おーっ!流れたぁ! (一同の歓喜の声)

 これまでの皆の苦労が報われ、見事にソーメンが流れ出す。大成功!

 水流に乗って、糸のように細いソーメンがキラキラ輝きながら流れていく。コレまでの苦労を一気に忘れていく。

 Yさんの奥さんが焼いた焼肉やトウモロコシなども次々と運ばれてくる。

んま~いっ! (ビールも、んま~いっ!)

 思わず目頭が熱くなる。

 僕の人生は間違いじゃなかった…多分。

メイン・テーブル

長ーいハイウェイ!

(好山園7/24)

 と、その時…

「あーっ、崩落事故だぁ! 足場が崩れて竹樋が落ちたァ!」

(←ほらーっ、レスキュー出動!)daddy

「あーアッチで、ソーメンが詰まってるぅ!」

(←ほらぁ、早くソコ、食べてぇ!)daddy

「あ、こっちは水が切れたぞー!」

(←早く誰か汲んできてぇー!(無理か)とりあえずいったんストーップ!)daddy

 辺りは一転して“阿鼻叫喚の巷”!

 しかし、こんな時でも、Yさんの奥さんは全然動じない。

「さぁ、それじゃぁ皆さん、このザルから直接食べましょうか?」

(←それだけは、やっちゃダメェ~!)daddy

 被害思ったほどでなく、間もなく全面復旧。ポリタンクの水も補給して、今度は本格的に祝宴に突入。

 汗をかいた後のビールが驚くほどうまく、ニコちゃんも流し役を買って出て楽しそう。

 うわっはっはっはぁ、どーだぁ!

ニコちゃん

行くわよー!!

(好山園7/24)

 みんなの顔がくつろいで、いい表情になっている。

 この後、ゴザに寝転んだり、川遊びをしたり、周辺の散策にも出かけたり、終わってみれば大成功のソーメン流しとなったのであります。

葉羽&親父

大満足の葉羽&親父

(好山園7/24)

好山楽翁局長、今日の流しソーメン…

daddy大成功ですね。(涙)

好山楽翁次からは、もっとうまくできるでしょう。いろいろ勉強しました。

daddyまた、呼んでください。今度は秋ですか…。

好山楽翁この辺は、いいキノコもたくさん出るんですよ。今度は「キノコ山」か「芋煮会」ですね。

 ということで、再びこの場所で再会することを誓い、ご夫妻には深い感謝を表して好山園を後にしたのでした。

 お二人は、僕たちの車が見えなくなるまで、いつまでもいつまでも手を振ってくださり、澄んだセミの声が、好山園の緑の谷間に、どこまでもこだましておりました。

 好山師匠、本当にありがとうございました!

 

/// end of the “その113「好山園の一番長い日」” ///

 

《追伸》

 とっても素敵な好山園の佇まい。

 楽翁師匠は、この森を拓いてワンルームのロッジを建設し、現在の山荘が三つ目となります。

 初代、二代目の山荘もいまだ現役で、ここには三棟のロッジがあります。

 都会の喧騒から逃れた別世界のような山荘の暮らし。

 休日になると、師匠はこの山荘を訪れ、畑の開墾や四季折々の山野草の風景などを写真に収めているそうです。

 しかし、この山荘の平和を脅かす、恐るべき天敵がいるのです。

 それは、何と野生のサル軍団!

 収穫間近のキノコを食べたり、木の実や作物を荒らしたりと、傍若無人に振舞うアウトサイダー軍団。

 でも、これも自然と共生する生活ならでは…醍醐味の一つなのかも知れませんね。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

好山園の昼下がり

好山園の昼下がり

(好山園6/18)

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To be continued⇒“132”coming soon!

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【岸波通信その131「流しソーメン2006(前編)」】2018.1.22改稿

 

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