官能の寺院~カジュラホ~ (詩:葉羽)
日本に帰れるのだろうかとさえ思ったのに
きっと来週の今頃は 懐かしい故郷への帰路
今はただ カジュラホのエロチックな寺院に
思いっきり 煩悩を揺さぶられていよう
壁を埋め尽くす男女交合像(ミトゥナ)のレリーフ
尖塔(シカラ)は男性のシンボルを表すとか…
一千年前にシャンデラ王朝が建てた都は
ヴィシュヌ シヴァ パールバティ…
神話(ヴェーダ)の神々と
愛欲(カーマ)の真実に象られていた
暗闇に屹立する女神(デヴィ)には
頭、胴体、足、それぞれに違う神が宿っている
深い闇の中 妖しげに光る蝋燭の
なんと官能的なことか…
焦げる太陽の下の彫刻より
屋内の陰影が心を惑わせる
この国では どこへ行っても
闇の中に何かを感じさせるものがある
鎮座するイノシシは
ヴィシュヌ神の化身(アヴァターラ)の一つ…
「現実世界はヴィシュヌの夢に過ぎない」
ジョッキを満たすと
ヴェーダの一節が脳裏をよぎった |