アートの街~ムンバイ~ (詩:葉羽)
初めてのムンバイ
フローラの泉の辺りは
くすんだ空の色
路地に入れば様々な肌と祈り
行き交う言葉が一つの色を成し
街の風景を染め上げる
万事屋(よろずや)の前に
錆び付いた自転車
それを眺めている原色の細密画
露店のサモサ売り ひび割れた舗道
この街はかつて
マハトマが立ち上がった場所
なのに
照りつける太陽
濁った空気の底で
誰もがみな疲れている
ふと気づけば 街角の似顔絵描き
モデルの男は
神妙な面(おも)持ちで…
そうだ ここは芸術の街
ボリウッドの聖地は
遍(あまね)くアートが満たす場所
この街のもう一つの横顔を
キングフィッシャーの泡が
確かに思い出させてくれた |