黄金の街~ジャイサルメール~ (詩:葉羽)
砂漠の涯(はて)に 夕陽が沈む時
街並みは 黄金色(きんいろ)に染まると言う
ここは伝説の街 ジャイサルメール
ラーワル・ジャイサルが造りし オアシスの街
小高い丘の上の城塞は 遥かな時を超え
ささやかな暮らしを 静かに見守っている
君は言う
30年前 恋い焦がれた街は
もっと小さな 落ち着いた佇まいだったと…
城塞のレストランで 物思いにふければ
眼下の街のざわめき
かすかに聞こえる コーランの詠唱
遠く地平線は 砂嵐に霞む
石段を降りて 古い記憶を辿り
路地裏を 彷徨いながら
君は あるはずもない思い出を探す
物売りの声…
痩せた犬…
錆付いた大砲は 東を睨んでいる
夜のとばりが降りて
城壁を月が照らす頃
人々は キャンドルを手に
祭りの準備にいそしむ
ああ、時代(とき)は移ろい
街も変わったけれど
相も変らぬ あどけない笑顔
君は想う
この街に…
“もう一度 恋をしよう” |