アイアンマン　（詩：葉羽）

　彼は仕事が終わると
　ウィークディの毎日
　ソフトボールに出かけて行く
　地域の子供で編成した
　リーグ戦の総監督だからだ

　そうして
　試合の記録を取って
　ホームページにアップするのが
　彼の日課だと言うのだ

　それだけでも
　相当ビックラこいたのだが
　なんとマラソン大会にも
　欠かさず出場していると言う
　ええええ～！！
　・・・それだけじゃない
　アイアンマン・レースの常連だというのだ

　僕の驚きも当然のこと
　だって彼の歳はオーバー６５
　僕よりはるか大先輩なのだから

♪アイアンマン　ファイト！
　アイアンマン　エクセレント！
　アイアンマン　フォーエバー！！

　僕は興味を持ち 　冗談半分で
　「カラオケ」は好きですかと問うと
　何と愛唱歌はさだまさし
　まさかのど真ん中
　何たる偶然　何たる巡り合わせ

　彼は昔　学校の校長先生
　生徒たちの卒業式には
　まっさんの「案山子」を
　アカペラで独唱して
　贈る言葉に代えたという

　あ～　分かる人には分かる
　なんて熱い先生なんだ・・・

　東京マラソンに出場した時には
　大きなゼッケンに
　学校名と「全員合格」の文字
　沿道の観客から惜しみなく
　励ましの言葉がかけられたという

　僕はそのシーンを思い浮かべるだけで
　思わず胸が熱くなった・・・

♪アイアンマン　ファイト！
　アイアンマン　エクセレント！
　アイアンマン　フォーエバー！！

　ある日　彼の記事が新聞を飾る
　「公式レース4万キロ達成！」
　僕は気が遠くなった・・・
　もはや言葉もない・・・
　4万キロって地球一周だぜ！？

　それを自分の足だけで走り抜けた
　まさに彼こそが真のアイアンマン
　僕たちの永遠のヒーロー

　そうして彼は　今夜も
　子供たちのために出かけて行く

♪アイアンマン　ファイト！
　アイアンマン　エクセレント！
　アイアンマン　フォーエバー！！

　アイアンマン　ファイト！
　アイアンマン　エクセレント！
　アイアンマン　フォーエバー！！