夢芝居 (詩:葉羽)
昔 夢芝居という流行歌があった
あれはどのくらい前だったか・・・
芝居なら小さな頃 見たことがある
歌舞伎や浄瑠璃じゃない もっと素朴な
・・・いったいどこで見たのだろう?
そうだ あれはたしか
ばあちゃんに連れられた神社の境内
露天の綿飴売りの奥に
いつの間にかできた掘立小屋
入口の莚をくぐると
ゴザに胡座をかいた観客たち
座長の挨拶が終わると
割り緞がおもむろに開く
大人の背中で舞台は見えない
肩越しにのぞくと
何やら大袈裟な立ち廻り
役者が見得を切ると 沸き起こる喝采
立ちあがって叫ぶ人 飛び交うおひねり
芝居が終われば一抹の寂しさ
帰り道はきっと眠っていたのだろう
覚えているのは ばあちゃんの背中
優しいぬくもりと砂利を踏む足音だけが・・ |