みどり豆 (詩:葉羽)
「あら、お久しぶりね」
「ああゴメン、職場変わってから方向が違うんでね」
音楽堂前のみどり豆に
久しぶりにやって来た
相も変わらず大盛りのパスタ
喫煙テーブルがあるのも魅力
あの頃、夕飯は毎晩ココだった
本当は「職場」の関係ではなかった
そう・・目の前の病院に
ケイ子が長く入院していた頃
毎日、見舞うのが日課だったからだ
ここのママさんは
不思議な空気を纏っている
店に飾った人物画は
彼女の若い頃の姿だろうか
そんな店に
今日はケイ子と二人でやって来た
「お世話になったね
カミサンはこんなに元気になったんだよ」
「あら、よかったわね
あの頃は深刻な顔してたものね」
「なんだ分かってたのか
おいおい、それはナイショだよ」(笑)
うん、軽口もあの頃のままだ
落ち着ける空気が懐かしい |