いちょう並木 (詩:大和伸一&葉羽)
ここへ来ると
無意識に足が向いてしまう
もうマスターは居ないと
分かっていたはずなのに
1984年7月
美術館・図書館と一緒に開店
その前は経済学部の
学生たちが通う銀杏の並木道
コーヒーはブラジルと
コロンビアのブレンドだけ
食べ物はケーキセットだけ
でも必ず付いてくる昭和のジョーク
綺麗好きなマスターが磨く
大きな窓はいつもピカピカ
近所の老夫婦や
下宿屋の学生たちの
談笑が絶えない店だった
銀杏並木を撮っていると
また一人 訪れた客が
閉店の張り紙に
肩を落として去って行く
マスターが愛した
金色の落ち葉たちが
今年も舗道を染めて・・
また一つ
大切な思い出が消えて行く |