その148
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  十年前の春 (詩:葉羽)

 十年前の春
  生前の父を連れて相馬港へ

 危険だと諭したが
  どうしても行きたいと言う

 父は若い頃
  港の建設に関わっていた

 港に到着すると
  凄絶な光景に息を呑む

 父は震えながら怖いと言い
  車を降りることが出来なかった

 あの日
  喫茶店で二人押し黙り
  苦いコーヒーを飲んだのが
  昨日の事のようだ

 あれから十年・・
  街はすっかり綺麗になったが
  海は灰色の防波堤の彼方

 あの店を訪れると
  黙って二人分の珈琲が出てきた

 今、目の前に 愛だけがある

Poem by 葉羽
 MP3 by 音楽の卵 “思い出の場所”
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   Photo by 大和伸一”喫茶ウィーン"

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