こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
イーオン、君に泣いているヒマはない。
またもケイコと二人、観て参りましたイーオン・フラックス。
しかし何ですねぇ、ウィークデイ深夜のワーナーマイカルシネマズ福島は、ちょっとした廃墟の雰囲気ですね。
やはり、サクラノが撤退して、10数階建てのビルに活動しているのはマイカルのある階だけで、後は入居者が無いまま放置されている状況とはいかがなものでしょうか?
しかも、福島駅前に近い一等地なわけですからね・・・淋しい限りでありますね。
|
イーオン・フラックス
(C)
2005 Paramount Pictures.
|
それはそうと、「イーオン・フラックス」。
シャーリーズ・セロンのお色気アクションSF・・・と一刀両断にしてしまっては「モンスター」でアカデミー賞主演女優賞を取ったこの演技派女優さんに失礼というもの。
しかも注目は、日系二世のカリン・クサマ女監督が演出を努めているところ。
うーむ、これならば、いかに安っぽくなりがちなアメコミ・ストーリー(原作は米国で1995年から放映された同名のテレビ・アニメ)であったとしても、日本人の繊細な感性で移植してくれているのではないか、と期待は高まります。
さて、ストーリーは西暦2015年、バイオテクノロジーで改良を重ねた穀物から突如殺人ウィルスが発生して人類の98%が死滅。
それから400年。
科学者トレバーの開発したワクチンのおかげで辛くも生き残った人類は、トレバーの子孫を代々国家議長として政府を作り、外界から隔絶された無菌の理想都市ブレーニャで身を寄せ合って暮らしている。
|
潜入開始!
(C)
2005 Paramount Pictures. |
ところが、この国では国民が次々と消息を絶って行方知れずとなっており、どうやらその黒幕はトレバーが率いる政府や警察そのものらしい。
為政者の横暴に業を煮やした市民が反政府組織モニカンを立ち上げ、政府にテロをしかけるが事態は一進一退、そこでモニカンのエース暗殺者であるイーオンにトレバー暗殺の密命が下る・・・。
期待を裏切らず、映画は冒頭からノンストップのアクションが炸裂。
この女優さんは素晴らしくスタイルがよくて、忍者のような黒のコスチュームに身を包んだ姿はまさにスタイリッシュ。
25世紀のブレーニャの人々は、日本の唐傘や畳の部屋を愛用していて、満開の桜並木があったりと、さすが日系二世の女性監督の面目躍如というところです。
|
街を闊歩するイーオン
←人々が唐傘をさしている。
(C)
2005 Paramount Pictures. |
ところで、女暗殺者のイーオンは、唯一の家族であった妹を政府によって抹殺されたため、議長であるトレバーに個人的復讐心を抱いている。
ああ、それなのにそれなのに、やっとトレバーを追い詰めて銃を向けた瞬間、自分でも理解できない感情が湧き上がって引き金を引けず、逆に捉われてしまうのです。
そう・・・恋心です。
と、言ってしまっては身も蓋も無いですが、実はこの感情・・・一目ぼれというよりは、最愛の人に再会したようなデジャブなのです。
逢ったこともない相手なのに何故?!
と、この辺からは、いよいよcinemaアラカルトならではの「ネタバレ」に入っていきますので、ご希望されない方はページを閉じましょうね。
|
政府の最高首脳会議
(C)
2005 Paramount Pictures. |
実は、この理想都市ブレーニャには隠された秘密があって、殺人ウィルスから逃れるために民衆が服用したワクチンには恐るべき副作用があったのです。それは・・・・不妊です。
この国の人々は、実は皆クローン人間で、悪人と見えたトレバーは、代々ワクチンの副作用を解消する研究を進めながら、一方で人類のDNAが途絶えないように医療機関で人々にも気付かせないようにしながらクローン胚の移植手術を繰り返していたのです。
ならば、民衆を抹殺していたのは誰なのか? その目的とは何なのか?
そして、イーオンとトレバーの本当の関係とは?
スリリングなストーリー進行にぐいぐい引きー込まれてしまいます。
とうことで、まるでマトリックスの第一作のような興奮とサスペンスに酔い痴れること間違いなしなのですが・・・。
|
忍者のように疾走!
(C)
2005 Paramount Pictures. |
ね、ケイコ。なんとなく評価はビミョーな感じがするんだけど? どーもスッキリしないんだよねー。
それは、アレよ。冗談がなかったでしょ?
へ? 冗談?!
トーンが暗いのよ。みんな思いつめてるし。
そっかー! 要するにスターウォーズのハン・ソロがいないんだ。
~ということで、無機的でスタイリッシュ一直線というこの映画、イーオンとトレバーの恋心も人間味を増幅させる方には働かず、むしろ謎を投げかけるモチーフに使われておりますな。
そこには007の大人のユーモアやお色気、ハン・ソロやインディー・ジョーンズのオトボケもないワケで、中年男女にはちょっと肩の凝るストーリーでした。
|
イーオン・フラックス
(C)
2005 Paramount Pictures. |
まあ、それにしても、シャーリーズ・セロンというのは素敵な女優さんですね。
美女でスタイル抜群で演技力は折り紙つきの上、大変な努力家でもあるようです。
何でも彼女、スタントを使わずに演じるために、3ヶ月もかけて肉体づくりとアクロバットの訓練を重ねたとか。
ところが、危険なシーンの撮影中に首と背中を痛めて6週間も撮影が中断してしまったのです。
それにもめげず、結局、最後まで演じ切り、彼女の出演料が11億円というのもうなずけるところ。
(でも凄いなぁ!)
|
撃ちまくるイーオン
(C)
2005 Paramount Pictures. |
ご存知手塚治虫の「火の鳥」や人気沸騰中の山下和美の「不思議な少年」など“永遠の命”をテーマにした作品は数々ありますが、結局、人間は永遠を選ばないというところに落ち着くもの。
そして、主人公イーオンも、最後には永遠の命を生み出すクローン生産システムの破壊を決断します。
さて、その先には何が待っているのか?(謎は、これでもまだ終わらない!)
金田一少年のように、幾重にも張り巡らした伏線と何回ものどんでん返し・・・サスペンス好きにはたまらない映画でしょう。
(マトリックスのように謎をウヤムヤにしないで、最後はきっちり結論が出ますのでご安心を!)
/// end of the “cinemaアラカルト24「イーオン・フラックス」” ///
(追伸)
岸波
この未来都市のたたずまいがキレイな風景だなぁと話すと、「これはドイツのポツダム辺りの風景じゃない?」とケイコが言いました。
帰ってから調べてみると、撮影地は本当にポツダムでした。(とベルリン)
さすがドイツで着物ショーや茶道教授をしてきたこともあるドイツ通のケイコだなぁと、関心してしまいました。
福島日独協会のメンバーの皆さん、皆さんもこの映画を見てすぐにピンと来ましたか?
では、また次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
you again !
|
シャーリーズ・セロン
←普通はこんな人。
(C)2005Warner
Bros. Entertainment Inc. |
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
Give
the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.
To
be continued⇒ “cinemaアラカルト25” coming
soon!
<Back | Next>
|