こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。
これはイギリス映画「裏切りのサーカス」のキャッチコピー。
カリスマ彰の「ファッションの達人!」が通算300本を超えたのを機に、「2」へと突入いたしました。
スタートアップなので原稿を固め打ちしてと頼みましたら、やってまいりました一挙5本。しかもそのうち3本が映画!
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裏切りのサーカス
Jack English (C) 2010 StudioCanal SA
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ということで今回は「ファッション…」と「cinemaアラカルト」のダブルアップでカリスマ彰編。
お届けしますのは「アウトレイジ最終章」、「裏切りのサーカス」、そして「ムッシュ・アンリと私の秘密」の三本でございます。
それでは早速、お願いします。
1.「アウトレイジ 最終章」(2017年 北野武監督)
全員暴走
TVで「アウトレイジ 最終章」(2017年 北野武)を、こんな「てめえ馬鹿野郎」の映画なんて見ちゃイカンと思いながら、ペロリと見てしまう(笑)。
証券会社出身の2代目会長役の大杉漣(チラシの左下⇒)は2018年2月21日に66歳で急死するが、2017年10月7日公開のこの映画は最後の方の出演作品だろう。
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アウトレイジ 最終章
(C)2017「アウトレイジ 最終章」製作委員会
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「クリカラモンモンもしてねえ、部屋住みもしてねえテメエなんか素人ヤクザなんだよ」と若頭役の西田敏行に言われて非業の最期を遂げる。
西田敏行もあんまりヤクザっていうイメージではないけどね。せいぜい香具師ってところだな。
しかし、大杉漣演ずる二代目会長の死に方(殺され方)が凄い!
確かに本物のヤクザの迫力はなくて、いくらなんでも軽過ぎで馬鹿にされそうな感じをうまく出している。
しかし、66歳でロケ時の腹痛から運び込まれた千葉県富津市の病院の集中治療室で急性心不全で亡くなるとは。65歳過ぎたらいつ逝ってもおかしくはないが。
それとなんとピエール瀧(写真上掲↑)が、変態ヤクザとして登場。
済州島でSMプレイ(ピエール瀧はM専門のようだ)を強要して嫌がる韓国人売春婦をケガさせて、ストーリーの発端になるなかなか重要な役。
実際に瀧は、麻薬所持で逮捕されているが、この映画でも組のルールを破ってシャブも扱うニュータイプの組長というのも既に事件を予見している。
この瀧の死に方もなかなかに壮絶なではあった。
最優秀演技賞は、花菱会の若頭補佐の中田役の塩見三省(写真上掲↑)という役者だったなあ。
上の者からの叱られ方がなんとも上手い。ホントにヤクザやったことがあるんじゃないかと思わせるような見事な演技だった。
その他では白竜(チラシで白いジャケットを着ている)がやはりいい味出している。
一方、鉄砲玉役の原田泰造などミスキャストも無いわけではない。
2.「裏切りのサーカス」(2011年 トーマス・アルフレッドソン監督)
一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。
映画「裏切りのサーカス」(2011年トーマス・アルフレッドソン監督)をTV録画で見る。
録画するかどうか迷ったが、まあジョン・ル・カレ原作だし、と思って録画したのが運のツキ。
いやあ、登場人物が多く、また名字と名前が入り混じって呼ばれるから、メモ取って見なきゃいけない。
それにカーラなんていう女みたいな名前なのに、後ろ姿しか登場しないソ連の男性大物スパイがいたり、とにかくなんでこんなに複雑に作らなきゃいけないんだ💢。頭悪いんじゃない💢と思いつつ、結局2回見させられた。馬鹿みたい💢
トーマス・アルフレッドソン監督いわく「頭が悪くて馬鹿なのはお前だ!」。
それにこの訳の分からないタイトルはなんとかならないのか!
サーカスというのは英国情報部がケンブリッジ・サーカスにあるからそう呼ばれているからだが、そんな説明は一切ない。
ジョン・ル・カレの原作(1974年)は「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」で直訳すると「鋳掛屋、仕立屋、兵士、スパイ」だが、どっちもどっちか。
主人公ジョン・スマイリー役のゲイリー・オールドマンなかなか渋いなあ。意外に小柄(175センチらしい)。
このジョン・スマイリーにもソ連のスパイ容疑がかかっているんですよ、実は。
そして、かつての同僚の4人(写真下↓)の中にソ連の二重スパイがいる!
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裏切りのサーカス
Jack English (C) 2010 StudioCanal SA
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まあ、2時間18分の映画を見なくても私にはわかるけどな。
しかし、全編に溢れるホモ・ラブ礼賛というのはなんとかならんのか。むしろこれがテーマのような気もするが。
これは1970年あたり米ソ冷戦時代の話だが、イギリスってやはりそんなに盛んなのかね。
ホモとバイセクシュアルの比率がその国の文明度を測る基準なんて言われ始めてるが(笑)。
3.「ムッシュ・アンリと私の秘密」(2015年 イヴァン・カルベラック監督)
嘘から始まる恋。
TV録画していた映画「ムッシュ・アンリと私の秘密」(2015年 イヴァン・カルベラック監督 ・原作98分)を見る。
「お前の魅力でワシの息子を誘惑して離婚させたら下宿代を6カ月タダにしてやる」というムッシュ・アンリ(クロード・ブラッスール)の申し出を女子大生(ノエミー・シュミット)は受け入れてその息子を誘惑する。
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ムッシュ・アンリと私の秘密
(C)2015 - MANDARIN CINEMA - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA
– LES BELLES HISTOIRES PRODUCTIONS
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モリエールあたりのフランス古典喜劇やバルザックあたりに原案がありそうだが、会計事務所を開いて成功した偏屈吝嗇オヤジ(日本と違い会計士らしからぬ実直なイメージ)とちょっとオツムの足りない美人女子大生のやりとりが楽しい。
ありそうな展開ばかりだが、随所にフランス的なエスプリが感じられる。
飽き始めた頃あいでちゃんと幕(98分)。人生の喜びも悲しみも厳しさもちゃんと盛り込みましたということか。
とにかく女子大生役のノエミー・シュミット(当時24歳)の輝かんばかりの魅力で見せる映画だ。
日本映画の新人美人女優と違うのは、やはり演技力。
女子大生は、試験の合否に関して2度嘘を言うが、最初の父親についた嘘は簡単にバレるが、2度目の嘘は偏屈吝嗇オヤジを幸せにした嘘だった。
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ムッシュ・アンリと私の秘密
(C)2015 - MANDARIN CINEMA - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA
– LES BELLES HISTOIRES PRODUCTIONS
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言ってみれば、この映画のストーリー自体が嘘をテーマにしているわけだが、嘘も方便ということか。
とにかくこういう伝統がフランスの演劇や映画にはあるわけだ。
死と悲劇ばかりがフランス映画ではないということを改めて感じさせた良作であった。
字幕を見ると、偏屈吝嗇オヤジはヒドイ地方ナマリを話しているようだ。
名優ピエール・ブラッスールの息子のやはり名優クロード・ブラッスールにそういう役をやらせる楽屋オチのようだ。
女子大生もオルレアンの野菜売りの娘だがら、そういう2人がパリで繰り広げる茶番劇という面白さもあるのだろうが、日本人の私には推測するにとどまる。
/// end of the “cinemaアラカルト234「アウトレイジ 最終章+2」”///
(追伸)
岸波
このところすっかりTVの日曜劇場「テセウスの船」にはまっておりました。
もちろん原作は読破しているのですけれども、ケイコが初見ということで、「この後どうなる」とか言いそうになって危ないあぶない(笑)
しかしテレビ版はテレビ版で、割と地味な作画の原作マンガとは違って出演俳優たちの迫真演技にアツくなりました。
特に主演の竹内涼真くんはこの役どころで一皮剥けたのではないでしょうか。
また、お笑い界から何人か重要な役柄でキャスティングされましたが、その熱演も素晴らしい。悪役を悪役らしくきちっと演じないと、人物模様の立体感が出てきませんからね。
しかし何と言っても主人公の父親、佐野文吾役の鈴木亮平の見事な演技・・さすがというほかはありません。
視聴率的にも大成功したようでご同慶の至りであります。
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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To
be continued⇒ “cinemaアラカルト235” coming
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