こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
10兆円で世界のルールは変えられるか?
ドミニクがcinemaアラカルトに何と二年ぶりに登場。いや~長いインターバルでしたね。
やはり、カリスマ彰の奮闘に感じるところがあったのか。
でも、ドミニクには他の追随を許さないアドバンテージが一つあります。そう、懸賞で先行試写会を当てるので、未公開映画のレポートであること。
今回の『人類資金』は、旧日本軍の隠し資産「M資金」を題材に、『亡国のイージス』の福井氏×阪本監督が再び組んだエコノミック・サスペンス大作です。
撮影は極寒の地ロシアのハバロフスク、日中は気温35度を超すタイのカンチャナブリ、ニューヨークの国連本部、そして日本の4カ国で行われました。
ということで、ドミニクの登場です。(※映画『人類資金』は10月19日より全国公開)
ドミニク
最終更新が2011年8月なので、2年振りにこのコーナー再登場のドミニクです。マネーゲームの経済の映画作品、好きなんです♪騙す方も騙されるのも心理戦ですよね。
10月19日からなので、先行試写会です。
阪本監督と主演の佐藤浩市さんが、フォーラム福島に来て舞台挨拶してくれました♪
テレビ局で75組150人と劇場枠で20組40人で募集していました。
たまたま見付けて2通応募して、1通当たりました。福島が舞台挨拶スタートで、東北を廻るそうです。なので、平日、午前中の試写会。
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「人類資金」完成報告会見 |
仕事で半休を頂いて、行ったら9時15分から座席引換なのに、8時半には30~50の主婦層が主で、たまに20代の男性がまじっていました。
45分も並ぶってことなかったので、佐藤浩市さんが来るから集結した感じです♪
前に座ったので、よくお顔が見えましたよ(*^_^*)
監督は、長い年月をかけて構想を練っている途中、東日本大震災が起きてしまって、一度書き直したそうです。
物語の設定は2014年ですので、来年の話です。物語の登場人物は、みんな東日本大震災の3.11を被災地で直接ではないですが、経験している事になっているそうです。
よく来年の話をすると鬼が笑うといいますが、ここでクイズ、最後に笑うのは誰だ??と。
世界をまたにかけた映画なんですが、実際は、2月26日にロシアのハバロスクの寒い国の撮影のあと、そのまま3月4日から南国のタイで4日間のロケへ飛んで。
11日から30日まで日本に帰って来て撮影してから、今度は、4月にニューヨークへ。だいたい30日位で、撮影したそうです。
佐藤浩市さんの話で、寒い国の人(ロシア)は、細かいけど、暑い国(タイ)は、ゆるいと。
さあ、本編の始まり始まり。ネタバレしていますので、注意してください。
物語は、2014年ですが、終戦時代に、さかのぼります。
日本が戦争をした理由で、自分の国にある金だけではなく、世界の金塊を自分のものにしようと、フィリピンに攻め入り、フィリピンから盗み出した金塊が日本銀行の地下に保管してありました。
それを、日本軍が日本の復興、再建のために遣ったらいいのではないかと盗み出します。のちの財団の笹倉暢彦の父が、管理開始です。
M資金に関わったCIA職員にハリー遠藤(豊川悦司)
「金塊を預けて、お金に換算されるけど、もし銀行に全員が払い出しに来たら、足りないんじゃないか?お金は、どんな大金でも、実際は紙で、これ自体には価値のないものではないか?」
が、この後、何度もお金(紙幣)を出すシーンがあります。
お金の本当の価値を問う、映画でもあると思います。
「たくさん持っていたら、金持ちといわれるが、これ自体に何の価値があるんだろうか?」
みなさんも、確かに紙に価値はないが、何かを買うにあたって、紙幣で目に見える形で、紙幣=決められたルールと思っていると思います。お金の本当の使い方についても、考えさせられる映画でした。
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「人類資金」原作 |
経済のルールは、1パーセントの富裕層でも、リーマンショックなど、急に何かが起こるのではないかと不安を持っているといいます。
アベノミクスも、7年後の東京オリンピックで、バブルに突入すると思いますが、被災地もいつまでも仮設住宅のままではいけないと思います。(M資金が、実在してたらなぁ~)
話は戻りますが、無断で流量された資金とも、GHQが、隠ぺいしたお金とも言われているこの「M資金」は、本編では、日本とアメリカの両国に権利があってどちらかだけでは、運用不可ということになっています。
そして、現在はファンドで増やしていることになっています。そのファンドのトップが、終戦直後の船のシーンで出てきた笹倉の息子です。
実際は、そのお金はあったかどうか定かではないですが、事実として、旧日本軍が降伏直前に東京湾の越中島海底に隠匿した、インゴット化された金1,200本、プラチナ300本、銀5,000トンという大量の貴金属が1946年4月6日に米軍によって実際に発見されたこともあります。
みなさんは「M資金」を信じますか? 今もM資金があって、影ながら10兆が東北の復興や再建に使われていたら、日本は円滑に立ち上がったのに。
この物語のなかでは、佐藤浩市演じる詐欺師の「真舟」は、「「M資金」を融資しますよ」と騙して儲けていたんですが、その存在は、見たことがなかったんです。また、あるのかどうかさえ、不明確でした。
今日も一仕事。騙そうかと思っていたら、知り合いの刑事が邪魔に入り、だまそうとして人が、刑事さんの知り合いなんだという話に。まるで、銭形刑事とルパンをみているかのやりとりです。
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刑事は「戦後から何年たっていると思っているんだ!?」と。
(たしかに戦後から、2014年まで69年。日本で戦争があったことさえ、分からない人たちが多くなっていると思います。)
東日本大震災の募金をしていて、1万円を寄付。「人を騙して得たお金だから…」
さっさと引き揚げようとしたら、歩いている途中で「M」という男の腹心で(真舟は、見知らぬ若い男)が、「財団の人間がお待ちです!」と告げます。
石から、"日本国際文化振興会"という名前を聞いた真舟は、その名前は、父がスクラップブックに残していた「笹倉」の名前だと思い出し、会いに行きます。
真舟の父は、トラックにはねられたと思うのですが、死ぬ間際まで、父は、M資金を追っていた設定になっています。
気になって会いに行くと、その隠れ蓑にしている財団の住所のビルで、なぜか襲い掛かってくる敵が複数!
これは、防衛相の秘密組織の人間で高遠(観月ありさ)という美女も。
真舟は、とりあえず急に襲いかかってきた敵が誰なのかも知らず、石と一緒に地下へ逃げ込みます。
(建物から地下につながる辺り、別作品の「プリンセストヨトミ」を思い出す雰囲気です)
地下通路の先は、地下鉄になっていて、その先へ逃げて扉を開けるとなぜか東京湾なのか隅田川なのか…水が見えて、高層ビルが並びます。
このシーンで、真舟が、1000円を石に出し「コーヒー買ってきてくれよ!微糖」という場面が面白かったです。石は、買ってきてくれませんでした。
その代わり、世界では、まだ携帯を持っていない人の方が多いことや、日本ではプリペード式の携帯が、犯罪に使われていること、1000円を稼ぐのも大変な人がいることを聞きます。
おそらく詐欺師である、真舟もお金のルールについて、思いを馳せていただろうと思います。
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その翌日、石の案内で、別の二人の男に会います。本庄という年配の男(岸部一徳)と若い男・M(香取慎吾)。
そして、携帯のちょっと大きくなった端末「PDA」で、6か国語に変換できるものを見たあと、「M資金」が本当にあるということと、それを盗んでほしいと言われます。
金額は10兆。報酬は50億。成功した暁には、M資金についての秘密を教えると言われて、真舟は、Mが考えた日本、ロシア、アメリカなど全世界を巻き込んだマネーゲーム計画を引き受けます。
まずは、パスポートを作って、ロシアのハバロスクへ。ロシアの財団の極東支部の代表・鵠沼役をオダギリ ジョーを騙して、10兆の資金をあちこちに送金させようとするんですが、優柔不断で、なかなか承諾を得られない。
そんなときの、真舟の格言、「押してダメなら、もうダメだ!」にはウケました。「押してダメなら、引いてみな」ですよね(笑)
飲み会の席で、鵠沼が言った「往復ビンタ」を証券用語だと知らず、真舟は、「上司のパワハラだ」と言います。
往復ビンタとは、証券用語で、買い方で株価が下がり、損切りして 売り方にまわったら、株価が上げた時。あるいはその逆のことをさすそうです。
株式用語を知らないばっかりに、鵠沼を騙して送金する計画が失敗します。
Mがロシアに来て、直接、鵠沼へ懇願します。
そこで、鵠沼とM(=財団の代表の息子の暢人(のぶと))が知り合いで、名前が判明。だまそうとしている会社の代表の御曹司。
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「人類資金」
(C)2013「人類資金」制作委員会 |
金曜の夜に決済して、土日と時差で、しばらくはバレないという細かい計画に、すごい緻密さを感じました。
オダギリジョーが、スーツケースを持って、日本に寂しく帰るシーン。これがまた、絵になる。もう、この役、すっごい、はまり役です。
お金を送金し終わって、M=笹倉暢人が、見せたいものがあると真舟と石と一緒に旅へ。どんどん小さいサイズの大きさになっていく飛行機。途中、M(笹倉)が、さらわれます。
「自分のことはいいから、2人は旅を・・・」 真舟と石は、最後に、石の故郷へ。
その頃、投資顧問会社の笹倉に、ニューヨーク大手投資銀行員のハロルド(ヴィンセント・ギャロ)が、圧力をかけてきます。M資金を一緒に牛耳る仲です。
電話の内容を録音していたのを聞かされるMの仲間・本庄。このままでは、暢人が殺される…!と思った本庄は、録音し、どこかへ送信。
エレベーターに乗って中で送信しおわって降りるところで、エレベーターに乗り込んできた男のハロルドの手下の暗殺者に首に毒を打たれて、心臓発作で亡くなります。
息子の暢人(次男)を助けると、自分も身も危ない暢彦…。
長男は自殺してしまったとき、次男の暢人は流浪の旅へ。そこでたどりついた石の故郷。手を差し伸べて助けられたのは1人のみ。
妹を失った石に名前を付けて、言葉も教えてあげたことを。言葉も話せず、自分を憐れむ言葉さえ知らなかった人達が世界にはたくさんいること。
その人たちへ投資しようと思うけど、財団のお金が、父だけでなく、アメリカの分もあるので、今回の壮大な計画を思いついた暢人。まさに、お金を世界の人類のために使おうと…スケールの大きな話しでした。
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アメリカの金融市場を仕切る男が、石の故郷に「テロ組織」があると世界に流布します。
でも、そこは、真舟とその仲間の酒田(寺島進)たちが、石の故郷は、「実は石油が出て・・・」と嘘を言って投資家にも投資させ、どんどん株価があがります。そして、株の流れを変えます。
50億のお金を使ってしまったんですが、結果、損をした投資家も居たことが事実。
暢人を助けようと、実は、フィアンセだった高遠と真舟と石は、アメリカに渡ります。
ハロルドに雇われた暗殺者は、実は、69年前のハリー遠藤の孫で、石優樹(セキ・ユーキ)を狙います。
国際会議に出る石を行かせるため、高遠と真舟は、ハロルドの手下と格闘しますが、つかまって暢人と同じ部屋に。ハロルドと真舟が英会話をするシーンがあるんですが・・・
ハロルド「英語話せるんだ~、どこで覚えた?」
真舟「駅前で」
(これって、NOBAのこと??と一人笑ったドミニク。駅前留学の「NOBA」懐かしいですね~。今どうしちゃったんだろうって思いますね。)
襲撃を無事阻止し、石は、国際会議に到着し自国代表として、発展途上国の実情と、もし妹が生きていたら、妹の写真を大事なものとして撮っていたと実情を話します。石が手に巻いていたものは、妹の髪留めでした。
ハロルドは、国政制裁を行うどころか、中継が全世界に流れ、みなの心に思いが伝わり経済の波が変わります。
この様子をみて、ハロルドは、「マネーゲーム、終わった~」なとため息をついたことでしょう。自分の部屋に戻ります。
暗殺者の遠藤は、「指示してください」と言ったのに、もう、用済みみたいな空気が流れ、おそらく、そのあと、雇われていた暗殺者の遠藤が、ハロルドを殺しに行ったと思います。
実際殺されるシーンまではないですが、遠藤は、目標が無くなって思考停止状態でした。
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「人類資金」
(C)2013「人類資金」制作委員会 |
すがすがしい気分で、3人は、ハロルドのもとを去ります。
佐藤浩市は、50億は使っちゃったから、暢人に「また振り込んでくれよ~。口座知っているんだろ~」と旅へ出ます。
高遠と暢人は、2人で、発展途上国の学校の先生らしき感じで仲良くしています。
真舟は、トラックで走っていたんですが、ガソリンもなくなり、水もない乾いた場所へ到着。見ず知らずの子供が、コップ一杯の水を飲ませてくれるシーン。
紙幣を差し出すと、いらないと。紙幣は、価値がない…?
いや、おもいやりの心に現金は要らない。ドミニクは、そう感じました。
お金をもらうために、水をあげたんじゃない。そう言いたかったのかどうか真意は、分かりませんが、小さな女の子が、コップに水をくんできて、飲ませるシーン。とっても深い映画でした。
監督としては、映画のストーリーほかに、まだ世界にはこんな景色があったのか…と思って貰える景色も楽しめる作品になっていたらいいと景色の撮影をしたようですね。たしかに、60度近い温度差は極端です。
舞台挨拶で、裏話聞けちゃいました。
ロシアのあと、そのままタイに行くので、スーツケースは、半分は夏物。半分は防寒着だったそうです。
短編を含めると、佐藤浩市さんと監督、20回もタックを組んだそうです。
まだ準備終わってないのに、現場にくる佐藤さんの熱心さを面白おかしく説明していました。
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今回は、4つの国をまたにかけた話と戦後の「M資金」の話題。そして主役級の俳優陣。顔で配役がおぼえられていいです。
味もある俳優陣だし、ストーリーはシビアな面もありましたが、紙幣に価値はないと。経済観念を変えられてしまう映画かもしれません。
森山未來さんの「石」役も良かったのですが、彼は、来月(10月)から文化庁より海外派遣型文化交流使に任命されており、2014年9月までの1年間、ベルギーとイスラエルに滞在し、現地の劇団やダンスカンパニーなどを拠点に演劇の共同制作や公演などの活動を行う予定です。
語学力向上のため現地では通訳なしで生活するそうですが、佐藤浩市さんの話では、現地の人とペラペラ話しをしていて、「ハリウッド目指すのか??」って。
ウォーターボーイズや、モテキなど、面白い役柄が多かったので、気付きませんでしたが、拓殖大の外国語学部スペイン語学科を中退していたり、松田優作事務所で、俳優だけでなく、ダンサーとしても活躍している上、本作ではクラヴマガというイスラエルの接近戦闘術を体得したそうで、ますます、来年の帰国後の活躍が楽しみになってきました。
役者としての幅がかなり広がっていると思います。
別な映画ですが、ぜひ「SP」で、岡田君と共演して欲しいですね~(笑)
今後期待できる役者だと思います。
/// end of the “cinemaアラカルト152 「人類資金」”///
(追伸)
岸波
「M資金」は、太平洋戦争末期に旧日本軍の手によって隠匿された時価数10兆円とも言われる金塊などの財宝のこと。
その後、GHQによって摂取され、日本政府の一部によって戦後復興や反共活動などに極秘運用されて来たと言われます。
まあ、そんなものは最初から無かったというのが定説になっていますが、漫画「クロサギ」でも詳しく解説されたように、「M資金」伝説を利用した詐欺事件が頻繁に起こっています。
このテの話は、徳川埋蔵金伝説など数限りなくあるのですが、一攫千金を狙う山師にとっては永遠のロマンなのでしょう。
待てよ・・無いと思わせて実は誰かが運用している可能性も。う~むぅ。
あ~あ、そんなことより宝くじでも当んないかな。あはははは!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See
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