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「Blue Island」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2005.6.9
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 真下警視、出ておいで。一緒に地下鉄を走らせようよ。
 弾丸ライナーより。

 「交渉人 真下正義」が興行収入20億円を突破したそうです。

 こういう“本当に面白い映画”が正当に評価されてるってのは、うれしいものですね。

交渉人 真下正義

(C)2005 フジテレビジョン ROBOT 東宝 スカパー!WT

 ところが、僕は、この映画がまさかアノ「踊る大走査線」の関連映画だとは知らないで見に行ったのです。

 なんか“あの「踊る」シリーズで男を上げたユースケ・サンタマリアが本格映画でデビューしたようだな”というくらいの認識で、家内のケイコを誘って(またまた“夫婦50割引”!)映画館に出かけたのでした。

 さてその内容は?

 

 映画の冒頭で、いきなり前作の“踊る2”「レインボーブリッジを封鎖せよ!」のラストシーンから始まったので、「ええー!」と飛び上がりました。

←(最近は、予備知識無しに、映画館に足を運ぶことが多いのです。)

 この映画には、“踊る”シリーズの主役である青島刑事(織田祐二)や恩田刑事(深津絵里)、そして亡くなったいかりや長介さんは出ていません。

 そうした主演級は登場しませんが、あの室井警視正(柳葉敏郎)も恋人の雪乃さん(水野美紀)も、さらには湾署の無責任三人幹部も元通りの役で登場しています。

 こういう、本来のシリーズでの脇役を主演にした映画のことを“スピン・オフ映画”と言うのだそうですね。

準備室長真下警視

交渉課準備室長真下警視

(ユースケ・サンタマリア)

 今回の大事件は、前作「レインボーブリッジを封鎖せよ”」のラストシーンの一時間後からスタートします。

 犯人逮捕に貢献した真下警視(ユースケ)が、マスコミの記者会見で思わず自分の交渉術を自慢してしまうことがすべての発端でした。

 それから約一年後、警視庁に新設された交渉課準備室の室長に抜擢された真下警視は、恋人雪乃さんとのデートを楽しみにしているクリスマス・イブの午後、突然、室井警視正に呼び出されます。

 東京地下鉄の最新鋭実験車両(通称:クモ)1両が何者かに乗っ取られ、前後の見境なく暴走を始め、その犯人は、交渉相手として真下警視を指名したのです。

 この犯人の描き方・・・ウチのケイコが言うには、スピルバーグの衝撃のデビュー作「激突」のパロディに違いないとか・・・。

 映画の最後まで犯人の顔は登場せず、この凶悪な暴走車“クモ”の醜怪な姿が犯人を暗示するものとして描かれているからです。

地下鉄実験車両“クモ”

凶悪な地下鉄実験車両“クモ”

←だんだんと凶悪犯に見えてくる。

 サスペンスの盛り上げ方としては、さすがにスピルバーグの考案した手法、見事に効果を上げています。

 そして、ユースケ・・・もうちょっと期待していたんですが、主役としては、さすがに軽量級なのは否めません。

 ところが!

 どうやら、このスタッフ・・・特に製作の亀山千広や監督の本広克行のコンビは、最初からユースケの演技者としての力量を“折込み済み”であったようです。

 うちのケイコが言うには、わずかワン・シーンしか登場しない交渉課準備室の風景の中には、和久さん(いかりや長介)から贈られた盆栽や神田署長から贈られた胡蝶蘭がさりげなく飾られているのです。

 また、タイトルバックのおもちゃ屋には、「踊る・・“歳末スペシャル”」から定着しているコスプレ男、三井が登場したり、同じスタッフの「スペーストラベラーズ」の爆弾クマが売られていたり、オマケに、この時点ではまだ登場していない“クモ”のプラレールが売られていたという念の入りよう・・。

 これは、“踊るフリーク”にはたまらない「隠しネタ」が満載なのですね。

 前作に登場していた小泉孝太郎(!)も、今回は、準備室の中心スタッフとして重要な役処を演じているのもまた一興。

小池警視(小泉孝太郎)

小池警視(小泉孝太郎)

←今回は、かなり重要な役処。

 地下鉄“クモ”が暴走する行き詰るシーン・・・実はそれは偽装で、本命の狙いは、雪乃さんが出かけているコンサート・ホールの爆破で・・・と思いきや、実は・・・

 ~という具合で、シナリオもどんでん返しの連続、まさに息つく暇のないジェットコースター・ストーリー。

 そして、随所に散りばめられたユーモアとファンにしか分からない隠しネタ。

 最近、これほど手に汗握る映画はありませんでした。

 久々の判定・・・“文句なしの快作”!

 こりゃぁ、さらにスピンオフで製作されているこの夏(8月27日)公開の「容疑者室井慎次」も是非とも見なくちゃと考えている僕ら夫婦です。

 

/// end of the “cinemaアラカルト14「交渉人真下正義」” ///

 

(追伸)2018.2.26

岸波

 今、思い出しても、全編「踊る」のオマージュだらけの作品でした。

 コアなファンにはたまらない映画ですね!

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

「容疑者室井慎次」

「容疑者室井慎次」

←エンド・ロールが終わった後で
突然、リンクシーンが登場!
最後まで見ててヨカッタ!

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト15” coming soon!

 

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