こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
最高のショーを、見せてあげる。
今回お届けするのは沢尻エリカ主演の「ヘルタースケルター」…はい、僕が観に行くタイプの映画ではありません。
ということで、“映画が傍らにあった人”……実は僕のほかにもう一人、そういう人物がいるのです。
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ヘルタースケルター
(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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それがあの、日本ファッション界のカリスマ・インタビュアー三浦彰氏(愛称:ダザワ)でございます。
同級生だった僕とカリスマ彰は、なんと高校の時にダブル主演の映画を製作していたのです。
ええええ~! (と、自分つっこみ。あはははは!)
今回、カリスマ彰がレポートしてくれた「ヘルタースケルター」の冒頭に、僕らが高校生の時に撮った「ハレンチ・コネクション」の話がちょっと絡んでいるので、本編に入る前にご紹介しておきたいと思います。
"オマケ"みたいなもんです(笑)
その正式なタイトルは「ハレンチ・コネクション~男は男である」というもの。
主要な登場人物は、男が二人と女が一人。(男はもちろん岸波&ダザワ)
こういう組み合わせとなれば、テーマは“恋のさや当て”というところに落ち着くのですが、それに止まらないのがこの映画の凄いところ。
息もつかせぬ超アクションシーンの連続で、これで死人が出なかったのが不思議なくらい。
(実際、ダザワはかなりの怪我を負ったのですが、ま、自業自得でしょうか。あはははは!)
主人公の二人はカッコイイ男(僕ですね♪)とカッコ悪い男。
カッコ悪い男はカッコイイ男を“いつかギャフンと言わせてやる”とばかりに、執拗に付け狙うのであります。
ところがいつも返り討ち。それも指先一本で。しかしそこで諦めない。
まるでゴキブリの如く、やられては立ち上がり、方法と手段を変えて何度も挑みかかるのです。
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決闘(イメージ)
←こんな感じ? |
やがて、カッコ悪い男の攻撃は常軌を逸して参りまして、頭の鉢巻に手裏剣や蝋燭を立て、「八つ墓村」のような扮装で刀を振り回すといった次第。
でも勝てない。
着衣のままプールへ放り投げられたり(というか自爆)、高い塔のてっぺんから蹴り落とされたり、教室の二階の窓からもんどりうって地面に落下したりと、これが全て本人実写撮影。
もはやR指定の領域でございます。(高校生ですけど♪)
高校では、僕がクラッシック・ギター部、ダザワが新聞部だったので、なんでこの二人がこんな映画を撮ることになったのか定かではありません。
ただ、完成したその年に梅苑祭(高校の文化祭)で上映して大評判(「なに馬鹿なことやってんだ」とも言われた)になったばかりでなく、僕らが卒業した後で二度にわたりリバイバル上映されたというのですから折り紙つきでございます。(何の?)
さて、前置きが非常に長くなりましたが、今回の映画は沢尻エリカ主演の「ヘルタースケルター」。
原作は、祥伝社の『FEEL YOUNG』に連載されていた岡崎京子による漫画作品で、第8回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞しています。
ストーリー未完のまま1996年に連載終了となり、その直後に、作者岡崎京子は交通事故に遭遇して意識不明の重態となりました。(その後療養生活)
内容的にはかなり陰惨なストーリーで、主演の沢尻エリカは、主人公りりこに感情移入し過ぎて体調を崩し、ジャパンプレミアにも出席できなかったというイワク付きの作品であります。
今回、解説してくれるのは、cinemaアラカルト初登場のカリスマ彰。
では、お願いいたしましょう。
(カリスマ彰)1本だけだが、実は映画を撮ったことがある。これが自慢である。
といっても、高校生2年生の時に文化祭に出品(何を偉そうに)した8ミリ映画で、尺は30分ほど。
脚本、監督、主演でスタントマンまでやった。
この映画のタイトルは「ハレンチ・コネクション」。
当時大ヒットした「フレンチ・コネクション」(1971年、ウィリアム・フリードキン監督)をパクったアクション映画だった。
予定していた下級生がビビったのでスタントマンまでやって、橋桁や校舎の2階から飛び降りて、しばらくまともに歩けないほどの怪我も負った。
そう言えば、このサイトの管理人の葉羽氏もこの映画に主人公の恋敵として出演していた。
というわけではないが、素人っぽい映画には必要以上にアラ探しをする。
で、今話題の映画「ヘルタースケルター」である。
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ヘルタースケルター
(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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なんと尺が127分。編集してんのか、とまず一喝したいのだが、実際に観てみると、まあ飽きずに観れた。
これは、一にも二にも主演の沢尻エリカ効果であろう。
これがこの映画の最大にして唯一の見所だろう。華のある女優である。
こんなシーンも…
観ている間中ずーっと誰かに似ていると考えていた。
松田聖子?あべ静江?秀香?いずれもさすがにちょっと古いが、これに北アフリカ出身のフランス人の母親のエキゾチックな味わいが加わるから、これはやはり見ものなのである。
この美女が体当たり演技でピンクのバストトップも見せれば卑猥な4字言葉も喚くのだから、これだけで入場料(東京地区1800円)のもとはとれるという言い方もできる。
あとは、なんというかどうでもいい映画だ。
多分監督の蜷川実花は映画をそんなに観ていないのではないか。
監督の蜷川実花
でなければ、薬物幻覚のシーンでベートーヴェンの「第九」を流したりはしないだろう。
映画好きなら周知だろうが、スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」(1972年)の似たようなシーンで使われた音楽である。
さらに主人公が不祥事引退記者会見後の破滅を連想させるシーンに流れる「美しき青きドナウ」(ヨハン・シュトラウス)はやはりキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)の冒頭の宇宙空間のシーンで使った音楽だ。
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ヘルタースケルター
(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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また主人公の部屋のイメージも、「2001年宇宙の旅」のラストの白い部屋を真っ赤にしただけのように見えた。
真面目に映画を作ろうとする監督が、こんなことを平気でやってはいけない。
キューブリックへのオマージュなら、もっとうまくやってほしいものである。
映画の撮影風景
ストーリーを簡単に書くと、美容整形でのし上がったモデル・女優の破滅譚である。
こんな三面記事は普通なら、まともな映画の題材にはならない。
できたとしたら、たぶん故伊丹十三だけだろう。
実際、伊丹映画のタッチをパクったシーンも少なからずある(事件を追う検事のシーンの多くなど)。
でも、伊丹映画のような面白さ(その多くは台詞や演出による)がないのは、監督の人間洞察力の差と映画教養の差であろう。
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ヘルタースケルター
(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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蜷川実花はやはり写真家なのだろう。
主人公と検事の対決シーンが、水族館の魚が泳ぐ大水槽の前というのは、写真家の発想だ。
ここは、両者のアップを様々なアングルで撮るシェークエンスが入らないと先ずダメ。
発想がスチール的なのである。
映画は一瞬の美を描く芸術ではない。時間の芸術なのである。
/// end of the “cinemaアラカルト140「ヘルタースケルター+1」”///
(追伸)
岸波
ということでございまして、特に付け加えることは無いのでありますが・・・あ、そうそう!
「ハレンチ・コネクション~男は男である」の件ですが、上の紹介では、「全然、女性が出てこないじゃないか」という向きもいらっしゃることでしょう。
そうなんですよ、「彼女」が登場するのは映画のラスト・シーン。
“明日のジョー”のごとくよみがえり続けたカッコ悪い男もついに力尽きまして、最後は川の藻屑。
大の字になって川を流されて行くのです。
よく撮ったな、こんなシーン…。
そこにどこからとも無く現れて、カッコイイ男に寄り添う美女。
二人は夕闇の中をフェイドアウトして行くのであります。
がっ!!!!
このヒロインを演じた女性が、今年8月11日の中学校同級会にやって来るのであります。もちろん、カリスマ彰も。
むむっ!主演者三人が数十年ぶりの顔合わせ。いかがなりますことやら。
いえ、どうにもなりませんけど。あはははは!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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ヘルタースケルター
(C)2012映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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