こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
刀ではなく、そろばんで、家族を守った侍がいた。
堺雅人と仲間由紀恵が初共演する異色時代劇、「武士の家計簿」がいよいよ公開されました。
原作は、第2回新潮ドキュメント賞を受賞した磯田道史の「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」。
幕末から明治維新という激動の時代を誠実に生き抜いた下級武士一家三代の姿を描きます。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
話の中心となるのは、加賀藩の財政に代々携わってきた猪山家の八代目・直之(堺雅人)とその妻・駒(仲間由紀恵)。
ほかにも中村雅俊、松坂慶子、草笛光子、西村雅彦といった豪華なメンバーが顔を揃えました。
さて、しがない下級武士がどのようにして、そろばんで一家を守ったのか?
また、この一家と幕末の天才軍略家・大村益次郎との意外な関係は?
それではドミニク、お願いします♪
ドミニク タイトルが強烈ですね~!
「家計簿」という3文字で、耳が痛い主婦もいるかもしれませんが、森田芳光監督の最新作「武士の家計簿」を見てきました。
ちなみにドミニク家、結婚当初は付けていましたが、赤字無しなので、つけるのをやめて、毎日懸賞の当選日記をつけることにしました(笑)
家計簿を付けなくても、底値も暗記しているし、買い時のボーダーラインもあります。
結婚してから一度も赤字無しで、全国誌から、節約の達人(笑)のオファーが来るほどなんですが、うちの家計をさらすのが恥ずかしいので、「ドミニク家の家計簿」の取材は断りしています(^_^)/~
今回は娘と2人で行ってきました♪
では、ネタバレしているので劇場に足を運んでから、武士の家計簿の世界へ~。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
幕末から明治にかけた激動の時代を、そろばんで生き抜いた下級武士の親子3代にわたる物語で、これは実在する家計簿を元に作られた映画です。
日本では、刀ではなくそろばんで、家族を守った侍が居たんです。
語り手となるのが息子。
でも話しの流れは父の直之目線で進んでいきます~。
その父演じるのが、堺雅人さん。
ゴールデンスランバーでも良い演技でしたが、今回も見物です。
さすが早稲田大の演劇研究会出身者ですね~!
のちに早稲田中退されたそうですが、いっつも真面目な演技です。
表情が、安定感ある役者さんです。
|
武士の家計簿 |
加賀藩の御算用者(経理のプロ)の猪山一家に生まれ、母(松坂慶子)が婿(中村雅俊)を取り、8代目猪山直之は育ちます。
曲がったことが大嫌いで、とにかく計算が正確なんです!
野心も持たず、帳尻あわせに必死。
当時は、そろばんを親が出来るからその子も計算が出来る時代ではなかったため、養子が目立ったそうですが、この猪山家ではきちんと育ったようです。
いつしか父より計算達者になり、『そろばんバカ!』とニックネームも付いてしまいます。
のちにおばばさまから語られますが、おばばさまの作った「鶴亀算」も5歳で解くくらい計算が得意だったようです。
「計算ばっかでもな~!そのうち家計を握られたらたまったもんじゃない!」
と、両親も、直之が家計を管理したら、息が詰まると(笑)
「そうだ見合いだ!」ということになります。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会 |
2人を会わす前に川原で、母方の実家の布を洗うお駒からお茶をもらった直之。
嬉しかったので、花を生けて去ります。
「あの人が猪山さまですよ~」と聞いて、え?と。
どうやら、お駒の想像とは違い、好みの男性だったようです♪
そうやって剣術の家系から、お駒を貰ってきます。
うまい具合に事が運び、お互い結婚に前向きになり、仲間さん演じるお駒のきれいな白無垢も必見です!
そして結婚して初めての晩・・・。
そろばんをいじって、なかなか寝ない夫。
お駒としても、「ありえな~い!!」の一言ですね。だって妻よりそろばんですよ!(笑)
でも、お駒は怒りません。
「これしか生きるすべがない!不器用で出世も出来ぬがそれでもよいか?」と問います。
「生きるすべのなかに私も加えて下さい」と。
不器用な直之をどんなことがあっても支えようとする強い意志も、ちらりと見えました。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
お蔵米の勘定役になった直之。
飢餓で苦しむ農民のお救い米として配られている分が少ないと農民から。
農民が書いた紙を見ると減っている。
直之は、独自の調査と計算で、帳簿にはない米の存在を暴く。
城の役人が、横領し私腹を肥やしていることを知る。
ここにいられたんでは、不利だと、上司から左遷を言い渡されるが、農民が火を持って、乗り込んできて、その一派の悪事がさらされ、農民は処刑されたが、もっと上の人から、左遷が取り消される。
直之の昇進は名誉だが、その分出費も増える。
いつしか、猪山家には借金が。毎月のツケが、たまったようです。
それも、直之の長男である直吉の4歳の着袴の祝いの日にタイが買えなかったので、親類が集まる席で、絵のタイを。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
父の信之「お前が書いたのか?」
直之「いいえ、私は絵が下手なので・・・」
お駒(仲間由紀恵)「私が書きました!」
息子の直吉は、母の書いた鯛の絵に「鯛じゃ!鯛じゃ!」と大喜び。
背中におぶる父。親戚は、笑っていますが、信之は笑えません。
親類が帰ってから、それ(鯛の絵)を本物の鯛の代わりに出したことを恥だという両親。
ツケをしてでも、親戚の前で見栄を張りたかったようです。
でも、息子の直之は、恥をかいてでも、手持ちの現金でなんとか納めたかった。
だから、絵を描く案を出した。そう言った話しをして何とか両親にも分かってもらおうと。
現在借金6000もんめ。(現在でいうと、2400万円)
当時、信之と直之の合わせた年収は、3000もんめ。(1200万あったが、使用人を雇うとか決まりがあったのでなかなか減らなかった)
それから、猪山家、借金返済のために、質素倹約が始まります。
いままで持っていた家財を全部道具やさんに売り払います。約2563もんめ。(これが、約1025万になります。)
大事な着物も売りに出すことに。
「いつか、着るもん!」とだだっこのような松阪さん、かわいいですよ。
(このセリフは、私もよく言います。いつか痩せて着れるかどうかですが)
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
「これは姫がくださったもので・・・」と、息子の直之にだだをこねる(中村雅俊)。
思ったより値がつかないから、そろばんの珠をちょっと、いじくったり。
小ネタがきいています。
その日、直吉の妹が誕生します。
結局、弁当箱に至るまで家財を売り払っても足りず、残りの借金も、10年無利子と。
家もかなりスッキリします。
愛妻弁当もおかずもない、白飯と芋になります。弁当箱さえ無いから包んであるし~。
それを見かねた同僚が、「うちに古い弁当箱あまっているからあげようか??」と。そこで、囲碁の盤にイモをぼとっ!と落とす中村雅俊(笑)
自宅の囲碁の盤は手書きで、しじみの裏表で白と黒を。お弁当も質素ですよ~。
長屋送りになるよりはマシだと、家族一丸となり、一生懸命頑張ります。家計簿もかかったその日に記入ということを決めます。
お駒のセリフ「貧乏だと思えば、暗くなるけど工夫だと思えば・・・」と。
|
武士の家計簿
←子役に演技指導する森田芳光監督。 |
何年か過ぎ、直之は、家計簿を4歳の息子に一任するんですが、4文足りません。
帳簿をみたら3日前から間違っていて、どうしてか聞いたりします。落っことして、なくしたようです。
「無くなったらどうするんだ?」と息子に問いただすと、
「(母方のおじいちゃんから貰う♪」と。
「それではちょうじりあわせにすぎんではないか!!」
「じゃ・・・」と、川原で4文拾うんですよ。
「それはお前のお金ではないからもとに戻して来い!」
「なんで??」
拒否してもみあいになって、そろばんが壊れて!泣きながら息子は、4文を戻しに夜なのに川へ~。
お駒が気付いて、「なんてことを!川におぼれでもしたらどうするのよ!」と怒ると、「それなら、それまでじゃ・・・」と。
お駒も追いかけません。
それから、家族が順番に亡くなっていくんですが、最初は、父。
川原で孫と歩いていた時具合が悪くなります。
その日もそろばんをはじく直之に息子は、「家族が亡くなってもそろばんをはじくのか?」と問います。
それでも止めない父。一度、その日のうちに家計簿をつけると決めたことですから。
それからおばばが亡くなって、母が亡くなります。
その寸前にお駒が、あのときの着物を質屋から取り戻してきます。このあたりで、猪山家の借金は完済になったのです。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会
|
その後、直之の厳しい教育もあってか、直吉は、11歳で、算用見習いに。
元服して成之に名前を変えます。
そのあと、息子が前田慶寧に伴って京へ。
薩摩藩とどこかの藩がぶつかって、兵を引いたけど、前田が捕まって・・・大村が暗殺された時、加賀のものも1名死んだという説が、お駒の父から。
心配で京へ行こうとするお駒。それを止める、直之。
でも、実際殺されたのは、息子を「算用者」として送り込んでくれた上司らしき人物。
何年か経ってようやく戻ってきたら、父の直之が動けなくなっていました。
成之は、背中に負ぶって、4文を捨てた川原に行きます。
「そういえば、父さんにおぶってもらったことないね」というと「おぶったわよ~」と母が。
「子供だから覚えておらんのじゃろ」と。
そう、思い起こせば、「鯛じゃ!鯛じゃ!」とはしゃいでいるとき、おぶっています。
|
武士の家計簿
(C) 2010「武士の家計簿」製作委員会 |
最終的に、誰がいつ亡くなったとか、全部、家計簿がしっかり残っていて分かります。
こういうタッチの刀を使わない武士映画、珍しいですよね。
仲間さんも、プライベートで要るものと要らないものを分別し、断捨離したそうですよ。
何が必要で、何が不要か教えてくれる映画だったと思います。
なぜか部屋を片付けたくなりますよ~。必要最低限のもので生活出来ますから!
私も懸賞で工夫して、住宅ローンの支払い、がんばろっと!
・・・と、変なスイッチが入ったドミニクでした(笑)
/// end of the “cinemaアラカルト116「武士の家計簿」”///
(追伸)
岸波
映画の原作となった“「加賀藩御算用者」の幕末維新”は、著者の磯田氏が偶然に発見した『加賀藩猪山家文書』を基にして構築されました。
博物館勤務の僕が言うのもナンですが、古文書を読み解くと当時の驚くような事実が明らかになることがよくあります。
この古文書もその典型的な一つ。
武家文書に日常の収支から冠婚葬祭の費用まで精巧な「家計簿」が完全な姿で遺されていたのは、国史研究史上初めてと言える大きな発見でした。
ドラマ終盤に登場する大村益次郎の像が東京九段に残されていますが、この建立を進めたのが直之の息子の9代目成之。
著者は、古文書から幕末における武家社会の窮乏や金融破綻の実相を明らかにしたばかりでなく、幕末の天才軍略家大村益次郎と加賀藩の一会計係であった猪山家の接点も見いだしたのです。
そういう意味でフィクションではなく、まさに本格歴史ドキュメンタリーと呼べるかもしれません。
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
|
堺
雅人 |
eメールはこちらへ または habane8@ybb.ne.jp まで!
Give
the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.
To
be continued⇒ “cinemaアラカルト117” coming
soon!
<Back | Next>
|