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by AyumiAyumi
Report by Ayumi Nakamori
"Jazzy Night" by MIDIBOX
Photo by H.Yamamoto
Site-arranged by Habane

 

AyumiAyumi

「バングラデシュにきて一番驚いたことはなんですか」と訪問される方によく聞かれます。

 その度にうーんと考え込んでしまうけど、面白かったことと言えば迷わず「断食月!」と答えます。

 自分でも予想しなかったけれど20代の半分強を海外で過ごすこととなり、その間色々な面白いものなんかを見ては驚いて楽しんできたように思いますが、サスガに最近は正直言って食傷気味。

 神経は図太くなってるしお腹も壊さないしさぁ。大抵のことでは驚かない。

 それにバングラデシュは私にとっては初めから仕事の場であり、生活の場であり、空気同様なので、スキとかキライとかそんな感情が生まれる余裕がなかったのが正直なところ。

 そんな私が「キャーッこんなの初めてーっ!」と面白くて仕方なかったのがこの「断食月」なのです。

 

終わると太る断食月

 イスラム暦の9月(ラマダン月)になると約30日間断食します。今年は10月15日からだったか?

「断食なんてホントはしてないんじゃないの?」とナメていた私はみんなの真面目さに一年目はたいそうビックリしたものです。

Ayumi(ごめん!)

 しかも断食というスイートな響きに反して、終わると太っているという罠…

 まず初心者の皆様へlesson 1。

 「断食」ですが、実はこの間全く何も食べないわけではなく、「日出から日没までの間のみ食事をしない」ということになっています。

 つまり逆に言うと、日没から日出までの間には日没、真夜中、日の出の3回のたっぷり食事をとります。

バングラデシュの人々

バングラデシュの人々

(by 山本弘)

 ダイエット経験者ならお分かりかと思うけれど、「食べてない!お腹すいてる!」という反動が凄いから、徹夜に近い状態でこの間に食べる量は半端じゃない。

 中でもとりわけ私たちガイジンが直面するのは日没のアザーン(モスクから聞こえるお祈りの声)と共に口にする最初の食事「イフタール」に賭ける情熱。

 この時期になると、まずオフィス・アワーが断食月対応になります。

 夜のご飯の用意のため仕事の開始時間を繰り上げ、帰りが2時半から3時あたりに。

 しかも上記の通りほぼ徹夜な人々ですから正直言ってこの期間はもう仕事になりません。

 ぐずぐず言わずにスパッと諦めるのが正解。

服屋の看板

服屋の看板

←断食明けには服を
新調する人で賑わう。

 ちなみにシャプラは4時まで頑張っているけど、これはバングラ国内屈指の勤勉さといってよいかも。

 そうそう、ほとんどのベンガル人はこの時期の日の入りの時刻を毎日1分刻みで暗記しています。

 イスラム教徒はもちろん異教徒も。

 だって、お店も会議も、とにかく全ての社会的機能がイフタールの間30分間は確実に中断するから、何事もこの時間を避けてスケジュールしなくちゃいけないのです。

 外出していても、泳いでいても、迷子の亀を助けていても(まんざら嘘ではないかも)イフタールは必ずアザーンのお祈りと共に食べる。

 車で高速飛ばしててもアザーンが聞こえると路肩に止めて店に走るからね。ほんとなんだからー!

Ayumi(でも、こういうメンタリティー、大好きよ。)

 

今をトキメク“ノンドンパーク”

 イフタールでは大抵決まったものを食べます。

 タマネギ、ダル(豆)、なすなどを揚げたもの、ナツメヤシ、りんごやバナナなどのフルーツ、それからジラピー(甘い揚げ菓子)などなど。

 揚げ物は炒った米(ムリ)に混ぜて(ホントにぐじゃぐじゃ混ぜて)食べますが、これが楽しいー!

 レストランやファーストフード店はこれら専用の出店を並べ街がぐっと華やかになり心ウキウキ。

 軽食屋さんでは定番アイテムが丁度よく収まってる「イフタールボックス」なんていうお弁当風のものを販売しています。

 また大きいマーケットではそこいら中に椅子と机が出され、こうしたお弁当箱を前にお祈りの声が聞こえるのを待つベンガル人で溢れかえるのです。

Ayumi(で、開始から10分くらいでササッと食べて何事もなかったように散っていくんだよね。)

 気づくと面白がって一緒に食べてた私だけがまだ食べてる、みたいな感じ。

 ちなみに日中は茶屋もカーテンをかけて、食べる人とか食べ物を隠すんだよ。

 オフィスの昼食もお茶も、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒と私たち日本人駐在員だけになるから、半分位になってしまうの。

Ayumi(悪いなぁと思いながら結構がつがつ食べてるけどね。ごめーん。)

ノンドンパーク

ノンドンパーク

←ノンドンパークの入口

 さて、今年の断食初日は、今をトキメク遊園地「ノンドンパーク」にて体験。

 夕暮れ時5時35分、アザーンとともに全てのアトラクション停止。

 同時に、全ての従業員が各々のイフタールを開始する。

 一方ワタシタチ日本人一行はなぜか入り口の荷物検査でビスケットが没収されたため待機中も食べるものさえなくかなりトホホな感じ。

 ちなみに断食初日且つイフタール前後の時間帯ということで遊園地はがら空き。

Ayumi(ほぼ貸し切りじゃん!賢いなー、私たち。)

ノンドンパーク

ノンドンパーク

←ノンドンパークのオブジェ

 またある時は、仕事を終え友人とダッカ随一のイケてる外資系ピザ屋、ピザ○ットに行った。

 まさかと思ったが私たちとしたことがばっちりイフタール10分前に到着。

 …なんとここでは一人200TKのイフタール食べ放題メニューが企画されており、大繁盛!

 かなり前から待機しているとみられるベンガル人で店内は一杯。

 よい子に膝に手を載せて、ひたすらアザーンが聞こえるのを待っているではないか。

 出直せと?…はい、すんません。

 すごすご退散。

 

断食月後遺症?

 そういえば該当期間中に国外に出た際にも思わず夕暮れ時の太陽を眺めて「まだ日の入りまで時間があるな…」と確認してしまう自分。

Ayumi(もう病んでいる…。)

 感動したのは日本人の友人がベンガル人に「是非家にも寄ってください、イフタールにご招待しますから」とベンガル語でさらっとのたまったこと。

 うーん、こういうのって「ホント」のベンガル語よねぇ。シビレルね。こんな風になりたいもの。

 断食は貧しい人のことや食べ物の大切さなどを感じ入る時間。

 だからイフタールって基本的には皆で分け合うものなんだよね、きっと。

 自宅フラット(アパート)の門番のオジちゃんたちと一緒に、あるいは出張先で、オフィスで、たくさんのイフタールに招かれてなんだか温かい気持ちになりました。

 続くイード(日本で言うとお盆とお正月のように家族で過ごす大きいお休み)のために、この期間は私も道行く人やリキシャのおじちゃんにも多めに喜捨することに。

ダッカ風カレーうどん

ダッカ風カレーうどん

←断食明けの人気メニュー

 断食月があけて、10日くらい経った今日この頃、…なんかオカシイぞ?お腹のあたりと顔の輪郭…??

 そうだよ、私は自分が断食しているわけではないので、単純に1日4食になってたんだ。

 そういえば東京からの出張者も私の食べっぷりにビックリして口をぽかんとあけていたっけ「逞しくなったねぇ…」って。

 更にイフタールを食べ終わると、イードのショッピング気分(年末の上野みたいな気分)に踊らされ、夜の街(推して知るべしダッカのナイト・ライフ…)へ繰りだしてたし、デブになるわ散財するわ。

 あー今月はダイエット&禁買い物!

AyumiAyumi (2019年9月26日リニューアル・アップ)

     

habane葉羽

 なるほど・・断食すれば痩せると思ったのが大間違いですか。

 世の中、聞くのと経験するのでは大違いということですね。あはははは!

(「バングラデシュの少女ラッキー」 by 山本弘)

 


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