Ayumi
12月に入ってからというものの、年度末の3月まで、ダッカ事務所にはスタディツアーや東京・カトマンズ事務所などからも、そのほかにも様々な海外からのお客様がひっきりなし。
皆様のバングラデシュ来訪中は日本人の駐在員がフィールドの案内や通訳をすることが多いのですが、宿泊先や車の手配などとともに、お客様の空港へのピックアップやお見送りも大事なお仕事。
忙しいときには、まず一組を出発ロビーに送り届け、10分後にはその足で到着ゲートに向かい次のゲストをピックアップということもあります。
でも、私は大の空港好き。
世界の地名が飛び交う中、「今から旅立つ」あの高揚感がたまらない。
(ちなみに同じ理由で東京駅の新幹線のホームも好き。)
だから、お迎えお見送りは好きな仕事のひとつ。
バングラ式セキュリティー設計
最近新しいターミナルも完成し、リニューアルしつつあるダッカのジア国際空港は目に見えるイキオイで毎日進化しているのですが、中でも楽しいつくりなのは、なんとお迎えの人がわらわら集まるロビーから、入国審査のデスクまでなぜか総ガラス張り、丸見えという点。
私達もお互いが分かると「わーい」と手を振って手信号で会話ができるのです!
久々に会う東京やカトマンズのスタッフを見つけて、「おーーーーい、久しぶりーーー」とぴょんぴょん飛び跳ね久々の再開を噛み締めるのはオツなもので。
そう、総ガラス張りなのにぴょんぴょん飛び跳ねないと中が見えない。
なにしろむちゃくちゃ沢山の「お迎えの人」というのが来ているのだから!
本当は「親戚のお兄さんの友達」くらいなんじゃないか???
「迎えられる人」はあなたのことを知っているのか???
~と疑わしくもなるけれど、迎える人迎えられる人、みんな楽しんでるのでいいでしょう。
しかし、むっちゃみんな密接している。
そのピッタリ具合がとにかくすんごいのだ。
ガラスにぴたっと張り付いて、あっちだこっちだと大声を出しながら友人や家族を探す。
そんなにしなくてもみえるだろ、と思うのですがとにかくみんな謎の興奮状態。
(空港好きの私としては分からんでもないが。)
しかし、この密着は大きな意味を成しているのではないかと最近ヒラメイタ。
だってだいたい、入国審査のデスク(イミグレーション)までガラス張りで外から丸見えって、セキュリティー上どうなの?と思うでしょ。
でもなんと見事にこのすごい数の人々の密集と密着のお陰で、指紋とか汗とか「そういうもの」(笑)がガラスにバッチリ着くので、天然の「モザイク」がかかってガラス張りなのに実はぼやけてストレートには見えないのよ、中が。
自然の光とバングラデシュの人々の悦びをうまく取り入れ、尚且つ安全性も保つ、という秀逸な設計なのだ!
さすが黄金のバングラ。
オーマイゴッド!
そんな人の山は、ほとんどが男性だ。
そんな時私は「女だけどガイジンなんだからちょっと入れてよ。でも女の子なんだから触らないでよね」というオーラを醸し出しながらグングン人込みの中に入る。
だってゲストを見逃すわけにはいかないからね。
こっちも必死で使える武器は全部使う。
でも、この国で暮らしてその価値観が分かってくると、とてもこの男性の中に女である私は入れないし、入りたくもないと思うようになる。
だから時々弱って、後ろを振り向く。
人ごみの後方は、いくつかの椅子が横に繋いである待合用ベンチになっていて、女性や子どもたちが座っている…が、その椅子には肘掛のところにまで上って「おーい、おーい」と雄叫びを上げる男たちがワンサカ…。
ああ、とにかく待ちきれないのね。うんうん。分かったけどでもちょっと座らせて、と思い足の掛かっていない椅子に座る。
両脇の椅子も空いていたのだか、スグに次なるスタンディング・オベーションの人々が駆け上る。
そして、うおーーーっ!と心のなかで大悲鳴を上げたのは、冬になってサンダルから靴に変わったかからか、律儀というか、靴を脱いだときに発生する独特の香りが丁度顔のところに…。
オーマイゴッド!というのはこういうときに使うんだな。
いやあ、参った。うんもうっ。
駐在員、がんばるのだーと自分を精一杯鼓舞(笑)。立ち上がれいっ!!!
空港の施設
そういえば、飛行機に乗るときって、ファーストクラスと前後して障がいのある方や赤ちゃんを連れている家族が搭乗を優先されることは多いですよね。
でもダッカから飛行機に乗り込むアナウンス、聞き逃さなかったぞ。
「エカ・モヒラ(女性でお一人の方)もどうぞ」って言ったのを!!!!!イエーイ。
一人旅の女性の皆さん、朗報ですね。
それに最近のダッカの空港には、免税店も出来たんだぞ。
なんだかよく分からんがワインもビールもサリーも売っているのだ。
また、バングラの甘いヨーグルト「ドイ」とかも売ってるのでガイジンも喜んでお土産が買えるんだぞ。
と思ったら飛行機で隣に乗り合わせていたガイジン仲間(知らない人だけど)が、飛行機から降りるときにキャビネットからドイの入った袋を下ろしたらもう漏れていて動揺していて可愛そうだった(笑)
いや、別にそのドイが悪かったんじゃないよね、気流がね、と軽くフォロー。
それにお茶の飲めるカフェ風スタンドもできたんだぞ。
お茶といっても道端の「チャ・ドカン」(道によくある小さいお茶屋さん)のお茶ではないんだぞ。コーヒーなんだから。
なんだかねサンドイッチとかピザ(バングラに多少いると、丸くて平べったいソースののった調理パンのことをピザであると認識できるようになる)もあるし、もちろんミスティ(あまーい、バングラデシュのお菓子たち)だって各種あるんだから。
出入国の審査だって、今まではひとつのボックスに数人の係員が入っていてなぜか自分のパスポートがぐるぐる回される稟議制だったのに、一応今は「一箱一人」で、コンピュータがあるんだぞ。
(前の稟議制の時には、係員の責任の所在があいまいになったのか、東京のスタッフ某さんには入国スタンプが押されないで出国の時に「密入国状態」を指摘されるという語り継がれる事件があった!)
でも入力がむちゃくちゃ遅くて、この間は「はやくしろーー」と怒鳴りだすガイジンまで発生する始末。
気の毒だが多少でもこの国で時間を過ごしたベテランガイジン達はそんなことでは動揺しないのだ。
エライ人が先に通されているのを見ても怒らない。
笑顔よ笑顔。
最近バングラに来てないなぁ、というあなた、以前のダッカの空港を知っていると「本当かよぉ」ってお思いでしょ。
是非ぜひまた、魅力一杯のジア国際空港経由でバングラデシュにいらしてくださいね。
曇ったガラスの壁の向こうからからぴょんぴょん跳ねて、お迎えに上がります。
(という今も実は私この原稿、機内で必死に書いているのでした。)
ボン・ボヤージュ!
Ayumi (2019年8月16日リニューアル・アップ)
葉羽
この記事は、2004年2月の話。
空港という最先端施設の中にも普段着の人々の息遣いが感じられるのもバングラデシュならではでしょうか?
それにしても、“充満する足のニオイ”は無くなったのでしょうか?
何となく、現在もそのまま・・・のような気がいたします。あはは! |