Ayumi
“そうだ映画でも見よう”と思い立ち、ちょっぴり遅ればせながら先日『ベッカムに恋して(Bend It Like Beckham)』を観ました。
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映画「ベッカムに恋して」
(バングラデシュのポスター))
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ベッカムに恋して
バリバリのインディアン・カルチャーを固持するイギリス在住インド人家族に育つ高校生の女の子Jessが主人公。
葉羽
ベッカム自身も記録フィルムや遠景で出演していて、本人もこの映画がお気に入りだそうです。また、奥さんである元スパイス・ガールズのヴィクトリア夫人もサントラに参加してましたね。
こよなくサッカーを愛する彼女が家族の求める女性観、家族観、幸せ。
そして「自分らしさ」とのバランスの中で悩みながらも、「イギリス人」で同じく抜群のプレイヤー、親友Julesに励まされ戦っていく青春ストーリー。
同時にJessのお姉さんのウェディングも進行しているので至るところにハデハデ衣装に甲高い声のヒンディー・ソングが流れ、新郎が馬に乗って登場。
ダンサーの大真面目な踊りがこの映画に華やかさとユーモアを与えて、「フツウの人」は大笑いしながら、そしてヒンドゥー映画絶好調のバングラに住む私は・・・
「またかぁ」
~とウンザリしながら観る・・・はずだったのです。
イケてるファッション
ところがビックリしたのは、私、この映画を観て全然疲れなかったどころか、超イケてるファッションにキラキラと目が釘付け(笑)!
またこれがインドの洗練されたセンスがイギリスのフィルターを経てすごく「上品」に収まっているのですよ。
複雑で深みがある色あい、光を反射する生地をふんだんに使ったサリーやサロワ・カミューズ(長いシャツ、パンツ、スカーフの3点セットの民族衣装。毎日私が着ているのもコレ)、スタイリッシュできれいなシルエット!
何といっても、露出度がちがう、露出度が。
若い人は違うと言いながらもやはりダッカでは女性のからだの線はなるべく出さないようにするので・・・従ってデザインもややボテボテ。
サロワ・カミューズのスカーフでちゃんと胸を隠すし、ノースリーブのサロワ・カミューズがショウ・ウィンドウを飾った時も「着られないよねぇ、実際。」とため息ついたものです。
でも映画のなかではおばあチャンがこの3ピースにしかもスカーフ無しなんて格好しているし、若いお姉さまのドレスのデザインの過激なことといったら(笑)。
「映画」「イギリス在住」を差し引いても・・・
「イヤー、インドは違うねぇ、ススんでるねぇ!」
~と口をぽかんとあけて見入ってしまいました。
笑顔の理由
衣装チェック(笑)の他に、この映画でとっても印象に残ったのは、JessとJulesの笑顔。
二人ともそれぞれの形で「女の子らしくしてほしい」という母親の願いとの対立に直面するのですが、最後に両親が「サッカーが好きな自分」を解ってくれたときの嬉しそうな顔!
まだあどけなさが残るその笑顔は、先日訪問したポイラ村(シャプラニールの活動地)の少女グループの女の子達の笑顔にとても似ていました。
彼女達もまた村の文化や、人々の目、家族の期待など様々な理由で同じ年齢の男の子達に比べて自分の思いを伝えること、受け止めてもらうことが非常に難しい状況にいます。
しかしグループを結成し少しずつ自分達の力で、気持ちを表現し、行動し、自信をつけてきました。
その彼女達の目と、すごく似ていたのです。
男女問わず誰だって、色々な条件の中で、自分の夢や希望と現実の間でうまく折り合いをつけて生きていかなくてはならない、それは本当。
でももし「自分の思い」が誰にも聞いてもらえないまま「折り合い」をつけなければならないとしたら??
そして女の子は、男の子なら当然受け入れられることにも「折り合い」をつけなければならないことが、やっぱりまだ多いのも残念ながら本当です。
それはポイラ村の女の子然り、インディアン・カルチャーバリバリのJess然り、そして一見「男女平等のイギリス人」Jules然り、そして私たち日本の女の子だって・・・。
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グリンダ・チャーダ
(“ベッカムに恋して”の監督)
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でも、そんな時に自分の「自分らしさ」「思い」を伝えられること、そして理解してもらえること、つまり自分という存在を一人の人間として受け止められていると感じられること。
例え願いがかなわなかったとしても、このことがパワー溢れる笑顔の元のように思えました。
しなやかに、したたかに。世界の女の子、一緒に頑張ろうネ!
Ayumi (2019年8月1日リニューアル・アップ)
葉羽
この投稿は、「ベッカムに恋して」が公開された2003年秋。
うーん、あれから7年も過ぎちゃったんですか・・・。
当のベッカムも、その後、アルマーニの下着のイメージ・モデルになったりしましたね。
これはこれで、大変話題になりましたが・・・。
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