【2011/7/21】
作品を廃墟らしく創り上げるために必要な石は、私の設置場所である岩の丘の登り口、道路に面したところにたくさん転がっている。
ストライプ状に見える地層が、層に沿って割れやすく、まるで自然にできたブロックのように、直方体や平板な形ではがれ落ちるのだ。
ひとりでこの石を持って丘を上がるのは容易ではなかった。
たちまち息が切れるし、持てる量にも限界がある。
これまでは、箱に入れて抱えたり、バケツで運んだりと工夫してみたけれど、なかなか…。
そこで今日は、アーネの連れ合いステインさんの農場から手押し一輪車(工事現場や造園業で"ネコ"と言われているもの)を借りて、それに乗せて運ぶことにする。
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ストライプ状に見える地層 |
今日は、来日したことがあるアーティスト、ハリエットさんが、日本人の私に興味をもって、自ら手伝うことを申し出てくれている。
労働力がふたりになったとは言え、岩の丘は足場が平らではないため、一輪車はでこぼこに車輪をとられて前に進まない。
それで、ひとりが一輪車を引き上げ、ひとりが押すことにしたけれど、転がすというより、ほとんど持ち上げているようなものだった。
それでも、日本の話などしながらの共同作業はこれまでよりもはかどり、石の運搬は終了。
いやはや、お疲れさまでした。
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各作家の作品:Michelle Weinstein [Cloud Watching Rock]
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夕食時にアーネが告げる。
「今晩8時半に、昨日来たTVクルーが撮ったこの展覧会の紹介が放送されるらしいから、見たい人は私の家に集まってね。」
見たい気もするが、作業できるのは明日1日だけなので、今日のうちに見通しを立てておきたいな…。
初めて、夕食後も作業をした。
夜とは思えないほどの明るさは、作業しないのがもったい。
ひとり、集中することができた。
日中はハエとアブしかいない草原の現場にも、夜になると蚊がでてきた。
今日は重労働だったからもう帰ろう。自転車で風を受けて帰宅する。
すると、いつもはみんな自室にいる時間なのに、キッチンから話し声。
のぞいてみると、オランダ人夫妻のイダとビル、フランス人のジェロームが飲んでいた。
「ヨシコ、もう君はこの辺りの有名人だよ!」と口々に言われる。なんで?と思ったら、TVでの3分ほどの放送は、展のディレクターのアーネへのインタビューと16人のアーティストのうちの3人の紹介で、そのほとんどの時間を費やして私の紹介だったというのだ。
うれしいような、はずかしいような…。
なにせ流暢な英語を語る多くのアーティストの中で、少数派のブロークンイングリッシュなのだから。
一緒に放送を見たものなら、めいっぱい冷や汗をかいたことだろう。
ジェロームによる撮影。こんな大画面に、ドアップで映っていたなんて、冷や汗…。↓↓
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