【2011/7/15】
朝、アーネさんがホテルまで車で迎えにきてくれた。
「総勢20名分の食料を、現地へ持参する必要があるの」というので、いっしょに買い出しを手伝う。
今日のうちに16人のアーティストとその連れが到着することになっていて、運転中にもしばしば彼女の携帯電話が鳴る。
「することがたくさんあって、頭の中が混乱しているの」と、すまなそうに言うアーネは、このプロジェクトをほとんどひとりできりもりしながらも、今回3回目に漕ぎ着ける。
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展覧会の現地 |
部分的に手伝う人がいても、全体を把握するメンバーがどれだけいるかが、その運営のしやすさに影響する。
それは私も痛いほど経験しているので、「その状況はよくわかるわよ」と慰めた。
車には、すでにアーティストのトランクやら荷物がたくさん積まれていて、その隙間に買い込んだ食料を押し込む。
地元のアーティストも、ポスター貼りなどのために、ボーデ市内を駆け回っているという。
ボーデの港から車ごとフェリーに乗り込んで、シャリンゴイに渡る。
展覧会の現地は、フィヨルドの入江を挟んだ対岸に、国立公園の山 Breidtinden (749m)とかTrolltinden (924m)などをのぞむ場所だ。
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位置図 |
岩盤による大地がむき出しになったところがあちこちにあり、どれも地層のストライプがはっきり見て取れる。
大理石のようにきらきら光る白黒のストライプだ。
層状にきれいに割れるためか、山並みのエッジが鋭く、キレのある風景だ。
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国立公園 |
人々は、四方にそびえる山の雄大な自然に囲まれながら、牛や羊、ヤギなどの酪農を営んでいる。
豊かな緑のなかに、年2回牧草を収穫するための草原が点在する。
人工的なものといったら、電線と、まばらに点在する住宅、そして畑ぐらいで、道の周囲には看板も標識も見あたらない。
運が良ければ路上を歩くトナカイに遭遇できるほどに、昨年滞在したフィンランドの街Iiより、もっとディープな自然環境である。
それはそうだ、なにしろ北極圏内なのだから。
アーネの自宅周辺のコテッジなどに作家達が分散して滞在し、指定されたエリア内で自分の作品を現地制作する日々が、これから始まる。
食材購入を手伝ったのは私なので、まずは私が中心になって夕食準備をすることになる。
平たいパスタ風のヌードルで焼きそば、そしてサラダを、ベトナム生まれでノルウェイで暮らすキャロラインと一緒に料理。
食後、海岸でたき火をしながら和む。
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食後のたき火 |
日中は晴れていれば17度ぐらいだけれど、夜は5度ぐらいだろうか、寒くてひとりでに体が震える。
持参した衣類の選択を誤ったようだ…これからどうしよう。
アーネが貸してくれたセーターとジャンパーを重ね着してしのぐことにしよう。
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