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by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane |
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【2012/6/6】 アゲハの成長に手を貸して 観察している中で最も大きく育ったアゲハの幼虫(青虫)が、いつになく激しい行動を見せ始めた。 葉を食べるでもなく、全速力で山椒の枝から枝へ渡り歩き、先端までたどり着くと虚空に半身を乗り出してぐるぐる動かし、宙に何かを探しているような動きだ。 新鮮な葉を求めているのかも?と、新しい枝を加えてあげても、食べる様子はない。
数本の山椒の茂みの中をあたりかまわず歩き回り、静かにしている他の4匹の上をズンズン踏みつけながら横切る。 下敷きになった青虫は、身を震わせていやがるそぶりを見せる。 一体どうしたのだろう? たくさんある足で枝をつかめば少々無理な体勢も可能なのだろうが、かなりアクロバティックな動きをするので、とうとう糞を受けるために敷いたタライに落ちてしまった。 緊張しながらつかまえて、枝の上に戻してあげた。 初めて触れる青虫の体はふわふわとやわらかだった。 やんちゃ青虫は、全く食べずにめまぐるしく動き回る。 これは、ひょっとして意図的に消耗するためなのだろうか? 蛹化の前のダイエット?
落下するたびに拾い上げ、を繰り返すこと10回以上! 蝶になる前に死んじゃうよ…と心配になる。 仕事をしている後ろでドサッという音。 「おばちゃ〜ん、おちたよう。あげて〜。」って声がするような。 私に拾い上げてもらえるのがわかり、わざと落ちて遊んでいる? そうだったら楽しいけれど、昆虫にそんな知能はないだろう。 「世話のやけるヤツだ」と思いながら、だんだんかわいくなってくる。 しばらくして、静かになったと思ったら、斜めの太い枝で落ち着いていた。
体の長さを少しずつ短くしながら、枝のまわりに首を回す仕草から、いよいよ蛹になる準備に入ったのがわかった。 体を支える糸を口から出して枝につけることを繰り返し、ようやく糸が眼に見える太さになってくる。 糸の輪が体のちょうど良いところにおさまるように、何度か身を反らせ、やがて静かになった。 気がつくと、ぐんぐん縮んだ体はジャバラを畳んだようにシワシワになり、元の青虫の長さの半分ぐらいに縮んでいる。
そして、また気付いたときには、シワシワがなくなってすっきりときれいな、勾玉(まがたま)のような前蛹の形に変わっていた。
翌日の夕方。ついさっきまで勾玉型を見たばかりだったのに、全く気付かないうちに脱皮し、バルタン星人のような頭の蛹に変わっていた。 前蛹となってから、ほぼ1日後にあたる。
時々、微かに動くにつれて、まっすぐだった体が少しずつ反り身になっていく。 その端正なストイックな姿は、昨日のやんちゃぶりとは別人ならぬ、別虫のよう。
世話を焼かされなくなったのが寂しいぐらいに情が移ってしまっている。 覚えているかい? そっと撫でたら、ぴくんと動いた。
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