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by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane |
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【2012/7/4】 つぎつぎとアゲハの前蛹化 最初の青虫の蛹化は、初めての目撃だったせいか、すべてが新鮮で、驚きで、不安で…。 そして、手がかかるほどかわいさが増す。 子供のいない私にも、親心なるものを自覚するような体験だった。 “やんちゃ青虫”の無鉄砲さに、他の4匹は、かすんで見えるただの青虫。存在感が薄かった。 人間関係もこんなものかもしれない…ふと思った。 私は周囲を配慮する性格なので、兄弟姉妹のなかで一番手のかからない、心配をかけない子だったと自分では思うし、大人になってからも、迷惑や負担をかけないように遠慮したり、我慢したり。 それが却って存在感を薄くするかもしれないな…。 やんちゃ青虫のかわいさが、それを気付かせた。
さて、1番目の蛹化から遅れること4日目、2番目に大きかった青虫が前蛹になる気配。 つまり、やんちゃ青虫と同様、消化器官の中身を出し切る“下痢”をしていたのだ。 この虫もまた全速力で這い回るぞ、さあ来い!と思いきや、普段と変わらないゆっくり支度のようだ。 その後の経緯から、この子を“がんこ青虫”と名付けることにしよう。 食を断って徘徊を始めたがんこ青虫くん、やんちゃ青虫がしたように枝先へ向かうのではなく、この虫はなぜか下へ下へ…。 山椒の枝を入れている瓶を降り始め、途中からは滑り落ち、瓶の下の糞受け用タライの底を這い、その側面をよじ上ろうとして何度も滑り落ちたあげく、うまくよじ上れるとタライの縁を延々と回る。 1周、2周、…元の地点に戻ったことを知らないんだろうな。 ほんとうはどこかへ行きたいのだろうか?
そのうち、タライの縁でつま先立ちするように伸び上がる。 どうやら、この虚空へ伸び上がる不思議な行動は、お決まりのものらしい。(私も少しずつ学んでいる。) タライは滑りやすいので外側へ転落することもあり、気付かないでいると、タライを置いた私の作業テーブルの縁を這っていたりする。 さあ困った。さらに床に落ちて行方不明にでもなったら、うっかりつぶしかねない。 そこで、タライにいるところを見つけるたびに枝に戻すことにした。 「ほ〜ら斜め45度。蛹化に最適の枝だよ」と、とまらせてあげても、納得がいかない様子でまた下へ。 再び枝にとまらせようとしても、イヤイヤをするように身をよじらせ、私の指にしがみついたり。 なぜなんだ!? あんなにむさぼっていた山椒なのに、なにが不都合なのだろうか? 外の世界が見たいなら、蝶になってから存分に飛び回ればいい。 今は、そこそこの枝に決めてもらえないものかね? …疲れて来た。 がんこ青虫にも歩き疲れてもらって、観念して蛹化の行程に入ってもらいたいなあ。 そこで、タライの内側でガサゴソしている間は放っておいた。
しばし眼を離していたら、タライの側面につかまったまま、体を縮め始めている!体を縮める前に、することがたくさんあるのに…。 慌ててタライからつまみ上げ、太い枝につかまらせた。案の定、青虫もその枝から動かなかった。ホッ。 しかし、まだ体を支える糸をかけていないのに、蛇腹状に縮んでしまっている。 このまま前蛹になって枝につかまる足を離した時には転がり落ちてしまう…。 収縮を始めた体は、まるで睡魔と戦っているように、間をあけながらのろのろと型通りの動きをしている。 もっと早く気付いてあげれば良かった…。 私の励ましの中でようやく糸掛けが終わったときには、青虫と私は一緒に(?)胸を撫で下ろした。
残りの3匹の蛹化は、仕事のための不在中や睡眠中だったため、見守ることができなかった。 3番目と5番目は、これまでの2匹の苦労は何だったのか?と拍子抜けするほど、無難に山椒の枝で蛹化していた。 4番目の青虫は、私が仕事に出ようとするとき蛹化の行動を開始した。 がんこ青虫と同様、瓶の外の世界に魅せられたようだった。 あ〜あ、もうどうなっても知らないよ!と出かけるしかなかった。 帰宅してみると、なんとタライの縁の外側のくぼみに収まって蛹化している! よりによって、ロッククライマーも挑まないような、最も難易度が高いところで…。 その姿がいじらしいような、おかしいような。
ま、放任していても何とかなるものなんだな。 野生の命って、たくましい。
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