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by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane |
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【2011/12/31】 先輩アーティストの背中 風邪気味で、養生しながらデスクワークした日のこと。 未整理になっていた名刺を、PC内の住所録やメールアドレス録に入力して、名刺ファイルに差し込んだら、古い名刺に眼がとまった。 そういえば、若かった頃に出会い、もう長いこと会っていない海外のアーティストは、今どうしているだろうか? ふと思い立って、facebookの検索に名前を入れてみた。 同姓同名の人がたくさん連なって出てきた。 居住地やポートレートから推測するが、顔や情報を伏せている人のは確認することができない。 しかし、名前の羅列と別欄に、入力した名前に関する情報がいくつか紹介されていた。 …あった。Judith Wright。
彼女に出会ったのは1993年、私が出版社退職の後、ようやくアーティストとしての発表活動にアクセルを踏み始めた頃だ。 [Inner Land]という大規模な展覧会のために、オーストラリアから来日した彼女を手伝った。 もの静かで、元ダンサーだったという彼女に、私はピナ・バウシュが重なって見えた。 その後、何度かエアメールのやりとりをして、静謐な美しい作品集を受け取ったこともあった。 もうひとり、Alastair MacLennan。
この人のパフォーマンスを初めて見たのは、1998年ポーランド北部の街ビトゥフの中世の城で開催されたフェスティバル[Castle of Imagination]に参加したときだ。 私は城の塔の内部にインスタレーションを設置した。
その後、彼がNIPAFというパフォーマンスフェスティバルのために来日し、そのときのパフォーマンスで、私は初めて、表現によって鳥肌が立つ経験をした。 彼の出身地である北アイルランドに吹く風を感じ、政治的な緊張の空気を感じた。 どちらのアーティストも、かつて出会った頃の表現から大きく傾向を変えることなく、かと言って色あせることもなく、着実に、魅力的な活動を続けているように見受けられ、それがなにより嬉しかった。 私も、こんなふうに誰かが思い出したとき、「相変わらずいい仕事をしている…」と思われるアーティストでありたいと思う。
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