【2010/6/12】
◆オープニングセレモニー
招待客と関係者のみのパーティー。元文部大臣などの祝辞に耳を傾けるアーティストたち。
オープニングセレモニー/6月12日18:00より
一般公開/6月13日~9月5日
作品設置/ Culture tradition Path along the river Ii(Ii, Finland)
参加作家/ Maria Paninguak` Kjaerulff (グリーンランド)、Linus Ersson (スウェーデン)、Lars Vilks(スウェーデン)、 Egil Martin Kurdol (ノルウェイ)、 丸山芳子(日本)、Helena Kaikkonen (フィンランド)
正確な名前表記は最新情報ページのチラシをご参照下さい。
主催・企画運営/ KulttuuriKauppila Art Centre
助成/ the Nordic Culture Fund, the Art Council of Finland, Valto Pernu trust, Iilaakso Ltd and the municipality of Ii
フィンランド中部の街 IiのレジデンスKulttuuriKauppila Art Centre が滞在と展運営の中心となり、作品はIiの街に広がりつつあるカルチャー遊歩道沿いに恒常設置となります。
◆アートツアー
ディレクターのLeena Vuotovesiさん(赤いコートの人)の紹介により、アーティストの作品を廻り歩いてコメントを聴く。
【展示作品】 (※サムネイルをクリックで拡大↓) |
Yoshiko Maruyama |
Maria Paninguak` Kjarulff |
Egil Martin Kurdol |
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Linus Ersson |
Helena Kaikkonen |
Lars Vilks |
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◆“ART Ii Biennale”に参加して
旅行ではなく、異国で外国人として暮らすこと ー いつか体験したいと暖めていた希望が、1ヶ月という短さではあるがようやく実現した。
その地の人々や暮らしに目を向けることは、同時に自分にも鏡を向けるように、さまざまなことが見えてくる。
これまで抱いていた北欧諸国のイメージは、“森と湖とオーロラの国”などという環境的なものであって、人々についてのイメージは何もないに等しかった。
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“葉の舟” by 丸山芳子
急流を木の葉の舟が流れて行く。しぶきがかかろうとも沈むことなくー。周囲の大国に翻弄された歴史を持ち、寒冷な気候にも耐えてきた、フィンランドの人々を葉の舟に象徴させた。
舟の左右の石の並びは、日本語「きこえるかい?」、同じ意味のフィンランド語「Kuuluuko?」と書かれている。
自然から人間への、歴史から現代人への問いかけであり、また、フィンランド人と日本人同士の呼びかけでもある。 |
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私が暮らしたIiという街での、アートを取り巻く人々との交流をベースにして実感したことは、人々の、何にもとらわれない人生観だ。
自分の人生のなかに、因習、伝統、固定観念にしばられた妥協の要素を抱えない。
自分が心から納得する人生を生きること、物欲よりは精神の充足に上位の価値を置いている、そんなふうに見える。
共に生きる最良のパートナーを求めるためには、子供がいても再婚に踏み切るのが普通で、親の異なる子供達が一緒に暮らすこともまれではないそうだ。子供も親の新たな出発を否定しない。
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“葉の舟” by 丸山芳子
葉の上の水滴を模した楕円形オブジェのなかに、このビエンナーレ開催地であるIiの街と主催施設KulttuuriKauppila Art Centreの人々の時の流れが表されている。
豊かな森の松の木からタールを製造し、Ii川に流して運ぶ、川と共にある生活。
築1892年の学校だったこの施設は、学校閉鎖後放置され、火事によって崩壊した。3人のアーティストの努力によって2006年アートセンターとして再建され、学校との連携企画ワークショップやこのビエンナーレ開催のように、文化発信の拠点となる。
底面が鏡になっているこの水滴に、かつてのIiの人々や元小学校の子供達、アートセンターのメンバーやワークショップに参加した子供達の画像が並ぶ。そして作品をのぞき込む観客も、このヒストリーに加えられる。
この日は、作品としての人工の水滴の上に、雨粒の細かい水滴が一面に乗っている。 |
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森や湖、川などの自然環境が生活に欠かせないものとしてあり、都市に住む人の多くも郊外にコテッジを所有して、週末は自然の中での安らぎのひとときを楽しむ。
湖や川での水泳やスキー、自然の中での“たき火とソーセージ”、精神のためのサウナ…など、彼らの暮らしを眺めていると、自分の人生にとって大切なことを、曇りのない目で判断し、実践しているように見える。
「そんなこと、当たり前じゃないの」と彼らに言われそうだ。「忙しいので…」は大切なことをしない理由にはならない。
私自身の生き方にもそぎ落としたいものがたくさんあるはずだ。瞬く間に過ぎて行くだろう残りの人生を悔いのないように生きるために。
<<2011.5.7 Release by Habane>> |