【2011/1/1】
「あけましておめでとうございます!」高揚した声がTVから繰り返される。
2010年最後の日は、年越しそばを食べているうちに2011年に切り替わった。
時は2010年であろうが2011年になろうが同じように刻んでいくのだけれど、やはり気持ちは年を区切って、この1年を振り返る。
私にとっての2010年は、ここで区切るのにもってこいの年になった。
いわゆる“人生の節目”である。
ひとつには、はじめて異国の地にひとり長期滞在を経験できたこと。若い頃に留学のチャンスを見送った私にとっては、1ヶ月も長期だ。
滞在先のフィンランドは、知人が現地のアートセンターに私を推挙したおかげであって、私自身の選択ではなかった。
ところが、Iiという静かな環境と人々や初夏という季節が、まさに私が節目を実感するための条件としてうってつけだったのだ。
若い頃に留学していたら、自分の作家としての人生がもっと広がったかもしれない…という後悔の念がなかったわけではない。
だが、今の年齢になって体験するのも悪くない。
50数年の人生が裏打ちされている自分がものごとを感じ取るとき、それは、若い頃とは違ったものだろう。
そしてもうひとつの節目、自室とアトリエを含む自宅半分を全面的にリフォームしたことに伴い、自宅の中にあるものすべてに対して取捨選択を決行し、これから人生を終えるまでの暮らし方を熟慮できたこと。
「晩年までどう暮らすか」を視野に入れて決定した工事プランであるから、意識にあるのは老いた自分がそこに暮らす姿である。
間取りや家具の位置は、終生変えないつもりで決定。書架を固定するのも、死ぬまで倒れないように…ぐらいにネジを押し込む。残すものを選び採るという行為は自分を省みることだ。
あれだけのものを手放したのだから、もう無用なものは持たないだろう。多分。まだまだ段ボール箱は積み上げられているが、意識と環境をそぎ落としたことで気持ちはすっきりしている。
今年はどんな経験と出会いがあるだろうか?期待しながら活動していきたい。
<<2011.5.29 Release by Habane>>
葉羽
皆様、長らくお付き合いのほど、ありがとうございました。
現代アーティスト丸山芳子さんのご好意によりまして、2010年にフィンランドで開催された“ART Ii Biennale”の滞在制作の記録を再編集し、アップさせていただきました。
今回の最終稿は「後日談」ですが、フィンランドの滞在制作と関連があったので、併せて掲載したものです。 |