【2010/5/30】
起きるなり、Kaisaに「Yoshiko-san, happy birthday!」と言われて、Kaisaの夫Anttiのつくった陶器の器を渡される。
すっかり忘れていた自分の誕生日。
KaisaがAnttiに電話をして私に替わり、Anttiからもお祝いのメッセージと歌 Happy birthday to you… なんとうれしい心づかい。
極地で迎える誕生日は、きっとこの1回だけだろう。なんだかいろんな記録をつくれる旅だ。
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ホテルの窓辺に置いた誕生祝い |
ホテルから歩いて行ける距離に、ラップランドやサーメ人の文化を紹介する文化施設Siidaがある。
私にとってこの旅の最大の目的地だ。
ラップランドの春夏秋冬を、気温・昼夜時間の変化・動物の生態・風景の変化などなど、多角的な面からビジュアルに紹介されている。
また、氷河によって地表がどのように形成されて現在の地形になったかの説明や、サーメ人の暮らしや習慣、文化、歴史についても、屋内、屋外の展示物や資料によって詳しく紹介されていた。
帰りの時間を気にしなくていいものなら、一日中見ていたい展示だった。
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サーメ人の文化を紹介する文化施設Siida |
車中で話をするなかで、来年来日する予定の彼女に、おすすめの場所として平泉を挙げた話の流れで、中世における朝廷の奥州支配政策や、源氏に滅ぼされた平泉の藤原一族について話したところ、サーメ人の血を引く彼女も、フィンランドにおけるサーメ人支配について握りこぶしをつくりながら語り、東北人とサーメ人という非支配者側から見た歴史の共通性に、私たちの会話はこれまでになく盛り上がる。
互いの人柄や魂に触れるような、近しい間柄になれた瞬間だった。
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「美しい頂上」という名の丘で、Kaisaと温子さん |
夕刻、彼女の郷里の村の森の中で、この旅の最後の食事。たき火をし、木の枝を削って刺したウィンナーを焼く。
炎を見つめることは彼女にとって大切な旅の要素らしい。森の静けさに耳を澄ます。
私たちに「これまでたくさんの滞在者を案内してきたけれど、あなたたちは本当に森に招くにふさわしい友よ」と言ってくれた。
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