【2010/5/24】
開催までの10日間は“ART Ii Workshop”と称して、招待作家すべてに専属アシスタントひとりが付き、材料・道具の調達や制作の協力を受けながら、ひたすら制作する。
私のアシストには、美術館や博物館などの展示内装制作を仕事とするMattiが担当となっていた。
Mattiは、以前の日記にも登場しているアーティストSannaの夫でもある。
私にとって、屋外の恒常設置も大きな舟型も初めてで、かなりチャレンジングなことだった。
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滞在先であるKulttuuriKauppila Art Centreの
建物が小学校だったころの写真
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私に作品のイメージやコンセプトはあっても、それをどう具現するかは、制作の節目ごとにMattiの綿密な考察による提案があったからこそだ。
現地に生えている柳を織って形をつくる提案もMattiである。
当初の案の材木で作るよりもはるかに軽量化するし、柳の枝という“線の積み重ね”によるアプローチは、材木による構造体よりも微調整がききそうだ。
しかし、この材料の使用はふたりとも初めてだったので、私たちは「経験に学びながら進めて行こう」と話し合った。
そして作品テーマにとっての協力者として、Sannaがいた。
Sannaは、KulttuuriKauppila Art Centreの設立以前からのこの建物の変遷を知る唯一の生き字引であり、ここの火災で焼け出された後、焼け残った建物をアートセンターとして再建するという夢を実現させたメンバーのひとりである。
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Sannaのアトリエに今でも貼ってある火事の新聞記事
(これが現在のアートセンター設立の出発点となる。)
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彼女と話をしているなかで、火災以前の状況や火災当日のこと、再建のために広報や資金集めをした努力の秘話を知る。
作品「Leaf Boat」に象徴させたい、不屈でしなやかなフィンランドの人々の具体例としてぴったりの実話にめぐり会い、作品の構想が明確になっていく。
【2010/5/25-28】
「Leaf Boat」の詳細な設計図や縮小サイズの模型をつくり、形や方法を検討する。古書やSannaのアルバムを借りて、作品に取り入れる画像を探す。
画像のプリント手段や、作品に取り入れたいガラス玉の作成方法について探る。
次回の報告はLaplandへの旅。この旅ででフィンランドの“北”の心を知る。
2009年の制作「たたかいの人類史」・「渇き」を通じ、東北人としてのアイデンティティを深めた私にとって、同じように征服された“北の民”にシンパシーを感じる旅だった。
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